検索窓
今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:190,919 hit

10 ページ11

.






「どうゆうこと?」






ジャージを掴んでいた手が今度はがしっと腕を掴んでくる。

お互いの距離が、さっきよりも近くなった。






向こうは私を逃がすつもりはさらさらないらしい。









「だ、だって、わたし邪魔かな〜と思って」


「んなわけないでしょ」








ぼそぼそと理由を告げると、

眉間にシワをつくって軽くため息をついた。








「変なところで気をつかって」


「わ、私だって先輩だし、せめて胸を張れるような行動をしようと」


「胸を張るって、その絶壁……あ、いや、やっぱいいです」


「あんたいま私の胸みて言ったわね?」








私の胸元から目線を逸らす太一に怒りを覚える。




おい太一。私がどれだけ胸にいいマッサージをして、

あまり美味しくない豆乳を飲んで、

超盛れると評判のブラを駆使して生きているか。


知らぬであろう太一よ。








確かに『ぺたんこ』とはよく言われるけど、『絶壁』って…


なんか硬そうでイヤだ。








「やい太一」


「見てません」








名前を呼ぶとプイッと顔ごと逸らして知らんぷりをされた。








むっ!する事が可愛いかよっ!!

ギャップ萌すぎる。いかん。顔がニヤけそう。




でもダメよA。心を鬼にしないと!!








「もう、あんたって子は…」


「俺、Aさんとこうやって話すの嫌いじゃないです」






文句のひとつでも言ってやろうと開いた口は、

ぽつりと呟かれた言葉で遮られ、そのまま固まった。





え、……えっ?い、今なんて??




ぽかん、として太一を見上げる。

逸らしていた顔がこちらに向けられる。



私の方を向いた太一の目は静かなのに怖いくらいまっすぐで真剣だった。

11→←09



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (496 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
716人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。