なかよし ページ10
席を立った男性は、柳さんが座っていた椅子に座った。そして真っ直ぐ僕の顔を見て、
「…星汰、だよね？」
と言った。
突然のことに驚き戸惑っていると、男性は少し笑った。
「あれ、覚えてない？薄情な奴だなあ…高2の時同じクラスでめっちゃ仲良かったじゃん俺ら！」
高校2年の時仲が良かった奴なんてほぼいない。同じ部活なら分かるが、同じクラスではないだろう。友人を装った詐欺か何かかと思ったが、そこである人物が思い浮かんだ。
一般よりも少し長い前髪、決して綺麗とは言えない歪んだ笑顔、背の低い男。
…『仲良し』。
「……………こま、ね…」
声が震え、手に力が入る。
駒音。
僕は高校2年当時、彼に弱味を握られ、好き勝手に使われた。彼はそんな関係を『仲良し』と言った。暴力なんてものは日常茶飯事で、逆らえない恐怖を十分すぎる程に思い知った身体は彼を拒絶するように震えた。
「名前で呼べって、星汰」
「…………………」
親しげに、本当に親しげに話す彼が怖い。
上手く言葉が、声が出せない。
動揺してはいけない、落ち着けと自分に言い聞かせ、何とか平静を装う。
「…ふーん、そ。まあいいや！それより何、今の人。めっちゃカッコよくね？先輩？」
「……上司」
「上司！？その割には若く見えたけど…歳いくつよ？」
「…20代」
「わっかーい！すげぇなあ」
小さく、短く言葉を返すことしかできない。
一方で駒音は、楽しそうに笑って大袈裟にリアクションをする。
「…駒音、そろそろ…上司が戻って来るから」
すると駒音は無邪気に笑ったまま言った。
「じゃあさ、俺と店出ようよ。久々に星汰と話したいし。上司には適当に言ってご機嫌取っとけばなんとかなるっしょ？」
「…上司を何だと思ってる」
「……星汰ぁ、いつからそんなこと言えるようになったの？いいからついて来いよ、それともまた俺と『仲良く』したい？」
腹が立って、でも怖くて、まともに抵抗する言葉さえ出てこない自分が嫌になる。
僕はいつまでもこの男には逆らえない。
もうついて行くしかないのかと諦めかけた時、後ろから声が聞こえた。
「あの、…うちの部下に何か」
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和風味噌和え丼(プロフ) - らいふさん» コメント、そして嬉しいお言葉誠にありがとうございます！読んでてほっこりできるようなお話が書きたかったので、そう言って頂けて本当に嬉しいです…！更新ペースは遅めですが、これからも何卒よろしくお願いします。 (2017年11月22日 4時) (
レス) id: 7ade5801cb (このIDを非表示/違反報告)
らいふ - ほわほわしてて、とてもほっこりしました。Rが付くようなお話は、苦手なもので、楽しく読ませていただきました。 次話も楽しみに待っています。 更新、頑張ってください！！ (2017年11月22日 1時) (レス) id: 378f2d202e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和風味噌和え丼 | 作成日時：2017年9月10日 23時
