百五十九 ページ9
「ちゃんと花嫁らしくやってんのか」
『まぁね』
「にしちゃ顔変わっちゃいねェぜ?」
『こんなことで変わってたまるか』
顔を合わせれば変わらない軽口を叩きあえる。それって幸せなことなんだと、総悟くんの隣に座りながら思う。
これが毎日だったのに、まさか久しぶりになるなんて思ってなかった。
……これもまた、運命というものなのかもしれない。
なんて、少し小説っぽいこと言ってみました。
『ねぇ近藤さん元気?』
「眼鏡の姉へのストーカーが無くなったでさァ、毎日局長室に引きこもってやがる」
『…原田は?』
「この間エ ロ本を休憩室に放置してやがったぜ」
『いやそれ今の流れに関係なくね?』
「山崎は相変わらずミントンしてるぜィ」
『待て、近藤さんだけ変わりすぎでしょ』
なんてのはただ口から出てきた言葉であって、実際は近藤さんと同じくみんな沈んでると。
先日旦那たちの口から語られた通りだった。
(ーー…当たり前が当たり前じゃない…か)
確かに、旦那の言う通りなのかもしれない。
「みんなお前ェが帰ってくんじゃねェかって期待してんだよ」
『でも私…』
「わかってらァ。てめェの決めた道だ、とやかく言うつもりはねェが本当に幸せになれんだな?」
言葉に詰まった。
幸せになれるか、なんてわかりっこない。
先なんて正直見えないからどうなってくかもわからないし。そこで頷けるかと言われたら難しい。
でも頷かないといけない気がした。
『まだわかんないけど多分ね…』
「ンな顔で頷かれて納得する訳ねェだろィ」
パシンと頭を叩かれた。
『今頭叩く必要なかったよね?なんで叩いた?』
「辛気臭ェ面してんのが腹立った」
『なんだろう、すごい理不尽な理由だね』
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時