百九十四 ページ44
直接言われると思ってなかったのか目線を泳がせた。
そして私の手を振り払えば煙草に火を付けた。
紫煙を吐き出すのと同時に溜息を一つ。そして舌打ち。
「Aはそれでいいのか」
『いいも何も私はそんなアンタを好きになったんだから仕方ない』
「俺と一緒にいても人並みの幸せなんざ…」
『誰が欲しいって言った?』
「あ?」
刀を握った時から私の死はきっと誰かに恨まれてのものだと分かっていた。
だから今更人並みの幸せなんて私には必要ない。
『十四郎ちゃんも私も同じだけ人を殺めて同じだけ赤を被ってきたんだよ。今更そんなもん望まない』
似た者同士なんだから
そう言おうとしたのに遮るように視界が遮断された。
鼻孔を擽る苦い匂いが嗅覚をいっぱいにして聴覚も早く脈打つ心臓の音しか聞こえなくなった。
腕の中から上を向けば視線が絡む。
「アイツで最後だって思ってたのによ、お前ェはズカズカと人の中に入ってきやがって」
『文句なら聞かないけど?』
「最後まで聞いとけクソガキ」
顎を掴まれて上を向かされればそのまま唇を奪われた。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時