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百五十五 ページ5

「AA‼これ食べていいアルか?」


『うん、作りすぎちゃったから』




日を跨いでお八つ時。

男所帯にいた私が料理を学ぶ事なんてないのはお祖父様もわかっていたらしく、先生はいない。


その代わりこうして毎日決まった時間に炊事場に立つことだけはしてるのだが。


今日は神楽ちゃんがいるし…

と作ったのはクッキー。


本当は二人で食べる分だけ、と思ったが何故か作りすぎてしまった。

多分、いや確実なのだが頭の中では別のことを考えていた所為という単純な理由。
そんな漫画みたいな展開ある?なんて思った人はいる筈。

私もその一人だったんだけど…。





『現実にあるもんなんだなぁ…』




と、半分他人事のように呟く。


食べ切れるかなという不安があったがそんなのすぐに無駄だとわかる。

神楽ちゃんは夜兎だ、常人じゃありえないくらいの大食い。しかも早いし。
今も美味いと言いながらお皿へと伸ばす手が止まらない。



恐るべし、夜兎族の胃袋。





「A‼」


『何?』


「なんか他に食べるのもないアルか?」


『え、それ食べ終わってないのにまだ食べるの?』


「万事屋帰ったらこんなもん食べれないアル。ここでたらふく食べてから帰るヨ。だからもっと食べさせるヨロシ」


『アンタここをなんだと思ってんの』


「食料庫兼親友の家アル」


『食料庫が先なのね…』




呆れて物も言えない。

けれどこの子らしいっちゃらしいのか、失礼だけど。


いつのまにか皿は空になり今か今かと私へキラキラとした目を向けてくる。
……これは何か出せということなのだろうか。

一つ溜息を吐き、冷蔵庫を開けた。

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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時

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