百八十七 ページ37
着物にまた赤が染みた。
ジンジンとした痛みに顔を歪めれば黒服たちの足が動きかける。が、それは蘭が私の首を強く締めたことでピタリと止まった。
十四郎ちゃんが私を見つめる。
助けると言わんばかりのその目から逃げるように下を向いた。
(ーーーまた、迷惑かけちゃったなあ)
どれだけ人を巻き込んだらいいんだろうか。
流石にもう、やになるよね。
何が駄目だったのかなんてどれだけ頭を悩ませても答えなんて出なくて、私の生き方そのものが駄目だと言われてるようで。
『…はぁ』
「何呑気に溜息なんて吐いてるのですか、この状況をお分かりで?」
『十分に分かってんだよ、馬鹿女が』
「なら溜息なんて吐く暇なんて『さっきから煩いんだよ、発 情期か』
素っ頓狂な声を発した主の溝へ肘を入れてやれば咳き込んだ。同時に腕の力が強まり、首への圧迫が増える。
これでいいんだと言い聞かせるように目を瞑った。
『真選組、ここを立ち去りなさい』
「は?何言ってんでィ」
『これは水瀬と水島、そして師走の問題なんだよ。お前らがしゃしゃっていい場所じゃねーよ』
私の言葉に騒ついた。
「…オイ、A。そうだとしてもなそこの奴らは罪状が出ることしてんだ。関わらないわけにはいかねェんだよ」
『だから、今は関わんなってことだよ』
目を開いて十四郎ちゃんを捉える。
瞳孔が開いた目が僅かだが揺れた。
『もう疲れました』
「は?」
『疲れたの、生きてることに』
十四郎ちゃんの眉間にどんどん皺が寄る。
何か言いたげに動いた唇を制するように息を吸った。
『そもそもこの事件の原因は私の父親です。』
「だとしても生まれてきたお前ェに罪はねェだろィ」
『怨みは子にも伝染すんの。自分の大切なもの、人を壊した相手の子ども。罪がないと分かっていてもソイツの顔がチラつくから許せねえって』
総悟くんは唇を噛んだ。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時