この世界の片隅に4【土方十四郎】 (ページ24)

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百七十四 Side-G ページ24

ーーー銀時side

「てめーら、町中で何騒いでんだ」

「あ？…ンだよおめーらかよ、税金ドロ」

そこまで言葉を発して止まった。

そういやアイツは…と神楽の横を見れば長い黒髪は見えず、眼鏡だけがそこにはいた。

俺の視線にハッとした二人も辺りを見渡す。

少し遠くにある八百屋の影、そこにアイツは居てこっちを向くなと言わんばかりに嫌な顔をした。

二人が気付く前にソイツをコイツら、というより瞳孔がかっ開いた馬鹿から隠すように八百屋を背中に隠す。
……多分、総一郎くんの方は気付いた。

「クリスマス近いからチキン買いに来ただけアル！」

「神楽の言う通り、クリスマスパーチーするからその買い出しだよ」

「ほう…それはそれは」

「あ？何がいいてーんだよ」

「万年金欠のてめェがクリスマスパーティーなんて羽振りがよすぎやしねーか、なぁ総悟？」

「…パチンコにでも勝ったんじゃねェですかィ」

返ってくると思っていた返答ではなかったのだろう。
前髪V字野郎は目を丸くして口から煙草を落としそうになっていた。

コイツなりにAの事を隠したんだろう。
…にしちゃァ分かりやしーこった。

それはコノヤローもそう思ったらしく

「おめー今日なんか大人しくねェか？」

「そうですかィ？」

「チャイナ娘がいるってのに突っかかんねェじゃねーか」

「土方さんみたいに俺ァ短気じゃねェんですよ」

「あァ！？」

総一郎くんはそれじゃ、と言って俺らの横を通り過ぎ八百屋の方とは真逆に曲がった。
それを追うようにあのヤローもその角を曲がった。

二人の背中が振り返らないのを確認してAが此方へ出てくる。

『総悟くん、気付いてましたね』

「アイツなりの配慮だろ」

「A！残りの買い物して早く帰るアル！」

神楽に腕を引っ張られたAは悲しそうに笑った。