この世界の片隅に4【土方十四郎】 (ページ2)

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「A様、ご友人の方が見えておられます」

「Aー‼」

私の顔を見るなり飛びついてきた神楽ちゃん。

真選組をやめてから旦那達とはそれなりの頻度で顔を合わせている。ーー神楽ちゃんなんてほぼ毎日来てるくらい。

それもこれも、タダ飯が目的なんだけど。
全く現金な人たちだけどお祖父様も私の友人だからと言って贔屓をしてくれてるわけで…。

申し訳ない気持ちでいっぱいだが＂家族なんだから＂というお祖父様の言葉に甘えさせてもらってる。

「おーおー、今日は一段と老けてんな」

『慣れない稽古に苦闘してますからね…老けててもおかしくはないですよ』

「でも目の下にクマ作ることは無くなったアル！」

「確かに。疲れてる感じはしますけど顔色はいいですね」

真選組にいた時と違ってここでは毎日同じことの繰り返しなのだ。それの所為、いやお陰か、まぁそれですこぶる体調は良いし眠気が…なんて日もない。

ただ、まぁ稽古は疲れるわけで疲労の色だけは隠せないでいる。

こうして万事屋一行が来てくれる日や神楽ちゃんの遊びに来てくれる時間が唯一の休まる場所になっている。

「そーいや真選組とはどうなの？」

またこの男は…。
聞いてほしくないことをズバッと切り込んでくるんだから。

溜息を吐けば顔を顰められた。……そうしたいのはこっちだっつの。

『なんもありませんけど。その話出してきたってことは接触でもしてきました？』

「あ？…嗚呼まーな。お前と会ってるかって聞かれたわ、でも知らねーって答えといた」

これでいいんだろ？と言いたげな顔と何故か此方に差し出す手。

…この男、本当に金しかないのか。

その手を叩き落として頭に一発入れてやった。