甘い結婚生活 【糸師冴】

十一話 ページ12

私、Aは急いでいる。

なぜなら！！私のお弁当セットに箸が二つ入っている！！！！

つまり冴君は箸なしだ！！！
やってしまった。と思った私は箸を握りしめ、タクシーを捕まえた。

急いで合宿場までいった。

タクシーに乗っている間、冴君にメッセージを送り、ひとまず状況を伝えた。
その時が付いた。仕事着なのだ。

せっかく冴君に会えるならメイクしたいし、服も可愛くしたい。なのに今の私は仕事中。
しかも学校の先生のため、スーツに眼鏡。髪は一つにまとめて巻いていない。

メイクも薄い。これじゃいかん！！とせめて神とメイクは！と思い、直した。

タクシーの運転手さんは女の人で、デートですか？と焦っておめかしする私に話しかけてくれた。

仕事途中なんですけど、箸を入れ忘れてて、、、というと、そうなんですね。と優しく微笑んでくれた。かわいい。

すると会場について、タクシーを降りた。
警備員さんに糸師冴の妻です。箸を届けに来ました。というと驚いて中に入れてくれた。

ここが食堂です。と言われ髪を少し整え、そっと扉を開けたつもりが、全員がこちらを向いた。
なにこれ！！！！！！！！！！


すると冴君と目が合い、ここに座れとジェスチャーで伝えてくれた。

急いで駆け寄り、箸を渡した。普通の声なのに、静まり返った食堂にはよく響いた。


でもよく見ると箸を持っている！そっか！ここにも箸くらいある！と思ったが、すでに遅い。

冴君が笑いながら、持ってきたのか？と聞かれ、ごめん渡さなきゃいけないと思って、と返した。

お決まりのように目を合わせ、笑った。

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