115話目 ページ26
好きでこんなこと言ってない、なんて言えないけど。
「......っごめん、もう一回言って」
『“迅さんの記憶、少しのぞいてもいい?”』
一言一句同じ言葉を発する。
「......なんのために?」
『......私が知りたいこと、誰も教えてくれない。たぶん、迅さんだってそう。
データも私が探したところにはに残ってなかった。でも、この話をすると何人かは記憶が一瞬チラついた。
たぶん、私のサイドエフェクトの存在を思い出してむりやり思い出すのやめたんだろうけど』
私の親についてなにか知りませんか、と言うとその瞬間、なんの記憶かも分からないが、一瞬何かがよぎったのだ。
「......だからって、なんでおれの記憶?」
私は確信を持って話す。
『迅さんが“旧ボーダー”メンバーだからだよ』
私は、いろいろな人に、自分の親について訊いた。
データ管理のスタッフから、割と古株の隊員まで。
なにか私の親について知ってる人間はいないか。
うちの親は、“怪しい”。
だから、なにかボーダーに残っているのではないかと、探していた。
その中で、記憶がチラついた人物。
城戸さん、忍田さん、林藤さん。
つまり、“旧ボーダー”の大人。
ほかの旧ボーダーメンバーに聞こうと思ったが、とりあえずこの三人全員記憶がチラついたなら、充分。
『問い詰めたけど、全員教えてくれなかった。林藤さんにも、“訊かないでくれ”の一言で終わらせられた。なら、最後の手段。強制的に記憶を視る。』
集中すれば、どんな記憶でも視れる。
『でもやっぱり、強制的っていうのはすごく嫌だった。記憶なんかいくらでも視られる。私のサイドエフェクトがあれば。でもそれはプライバシーの侵害だって、使ってこなかった。仕方なく視えちゃうの以外は。』
「......A、」
『だから私は合法的に記憶が視られるこの状況を最大限利用する。迅さん、私の頼みは、それだけ。少しだけ、記憶を視させてください、迅さん、』
「おまえがそんなに罪悪感感じるんなら、おれが、自分から......言うよ」
そう言った迅さんの顔にも、罪悪感が滲んでいた。
347人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天(プロフ) - 何も言わずに旋空弧月さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです。ちょうど一話更新したのでもしよかったらぜひ!これからも低速ではありますが更新していきたいと思うのでよろしくお願いします! (2021年5月27日 22時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
何も言わずに旋空弧月 - ストーリーに惹き込まれ一気読みしました。大好きです。作者様の都合もあると思うので気長に更新を待ってようと思います。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 天さん» いえいえ!作者様にも事情がありますし、こうしてまた更新します!と言う言葉を見て、帰ってきたー!と嬉しかったです!はい!こちらこそ、これからも宜しくお願い致します! (2021年4月11日 12時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - Yu-grenaさん» コメントありがとうございます!本当ですか……長い間更新が止まっていて申し訳ないです……すごくうれしいです!これからもよければよろしくお願いします!! (2021年4月11日 6時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 初コメ失礼します!天様のワートリ小説(三輪くん)のお話、一から読んでて…大好きです!これからも無理せず、お体に気をつけて頑張ってください!応援してます! (2021年4月11日 0時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:天(元れたす。) x他1人 | 作成日時:2020年1月2日 14時