reject 【ybhk】

connection ページ23

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総務課の敵は人事課だ。



敵という表現が不適切なら、ライバルとしてもいい。

営業が会社の表看板なら、総務と人事は裏看板だ。

会社は営利組織なんだから、カネを稼いでくる営業は、まちがいなくセンターポジションの絶対エース。

組織を裏から支える総務と人事は――よく言えば、シンメといったところか。



総務課の永遠のライバル、人事課から、総務課長の私に呼び出しがあった。



内密にお願いします、という内線電話。

社内メールでも、社内便の書類でもなく、後の残らない内線で呼び出されたことに一抹の不安を覚える。

総務内で人事課からイチャモンを付けられるような問題は見当たらない。


人事異動ならすでに発表済みだし、追加の異動か？

今回の異動では総務課からは寿退職が一人いるだけで、大きな異動はなかった。

隣の営業二課には、ロンドン支店から岡本くんが転属になって来ていて、ちょっとしたサプライズ人事に社内がざわついていた。

でも、それはウチには関係ない話だ。


――腐女子的には関係大ありだけれど。



呼び出された小会議室へ行くと、そこにはちっちゃい男の子がポツンと座っていた。

濃紺にピンクのワイシャツが似合う社会人なんて、凄すぎる。


――ちっちゃ!かわい!!


思わず口をついて叫びそうになる。

人事課の知念侑李。まだ三年目だけど、やり手で有名だ。

――見た目のキュートさにだまされてはいけない。

見た目は綿菓子みたいだけど、中身は、そう、サボテンだ。


「お待たせしました」

冷静に挨拶すると、知念はひょいっと身軽に立ち上がり、頭を下げた。

「総務課長、お時間いただいて、ありかとうございます」

慇懃に挨拶し、私に椅子を勧める。

知念はちゃんと下座に座って、上座を私に譲っていた。

さすが人事課、こういうところもキチンとしている。



「今日は、どういったご用件？」

私はうっすら微笑んで、愛用の手帳とモンブランの万年筆を取りだす。

何かあればメモってやるぞ、という無言の圧力だ。


知念は「そのことなんですが」と声を潜めて、椅子に座りなおした。

「お伺いしたいのは総務課のことではないんです。
それなのに総務課長をお呼び立てして、大変に申し訳ないんですが……どう考えても総務課長にお聞きするのが一番だと考えまして」


嫌な予感がする。

ぞわっと背筋が冷たくなった。

2→←---再々、お礼とご挨拶

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