境 界 線 【ybhk】

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でね、ここからが本題なんだけど。
ちょっとぉ〜、薮くん、聞いてる？
聞いてますか？目開いてる？ここから重要なんだけど。

付き合って3か月って、結構いい頃合いだと思うんだけど、ヤマちゃんを誘うのに本当に悩んでんの。
いや、呆れないで聞いてよっ。
薮くん、どうやって光くんを誘ってんの？
あの光くんだよ？あ・の!!
どうやったらベッドに誘えるか、今一つイメージできない……えっ、光で想像すんなって言ったって……だって俺の手本はやぶひかだもん。

ぜひ、先輩からご教授いただきたいんですけどっ。

ねー、薮くん、聞いてる？
え、ちょっと、何タクシー呼んでんのっ!
マジで帰るの？マジ？
ええー、薮くん、薮くんったらぁぁぁぁ〜。



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「あほくさ……」

俺はタクシーの中で盛大に溜息をついた。
要するに、裕翔はノロケたいだけだろう。
無自覚だけどな。

まあ、確かに涼介は恋愛に対して夢見ることが多そうだから、いろいろ気配りが必要そうだ。

ちょっと可哀そうになって、裕翔に「お前なら大丈夫。思い切っていけ」とメッセージを送った。
すぐに既読がついて、なんだかやたら張り切った感じの犬のスタンプが返ってくる。
その犬が本当に裕翔みたいで、思わず噴き出した。

──薮くんと光くんみたいになりたい。

恥ずかしいけど、そう思ってくれるのは、嬉しいよな。

裕翔が「やぶひかやぶひか」って言ってるのは、昔の俺らのことを慕っているからだと思っていたけれど、あいつはちゃーんと今の俺らにリスペクトしてくれてんだな。

そう思ったら、光に会いたくなった。
流れる街の光がきらきらと煌めく。

「スミマセン、行先、変えてもらってもいいですか？」

運転手さんに光のマンションを告げ、俺は光にメッセージを送る。
「これから行く」
既読はつかない。
光らしいよな。
ポップアップ画面を見て、さぞ慌ててることだろう。

口笛でも吹きたい気分で俺は既読の付かない画面をいつまでも眺めていた。




---おしまい♡

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