子育て短編集【アイナナ】

壮五パパ ページ44

逢坂壮歌(そな)ちゃん 16歳(高1)


バレンタインデー


壮歌「ただいま」


A「おかえりなさい、由くんにはチョコレート渡せた？」


壮歌「な………っ」


由くんの名前を出すだけでコチーンと固まる壮歌。


目の前で「おーい」と手を振るが、反応なし。


壮五「おかえり、壮歌」


後ろから、ゆったり歩いてくる壮五さん。にっこり微笑んで上機嫌。


壮歌「た、ただいま。お父さん」


壮五「由くんに、渡せたみたいだね」


話をぶり返してきた父親に、また固まる壮歌。


可愛いらしい姿に、壮五さんとクスクス笑い合う。




壮歌「あ、お父さんにチョコレート用意してるよ」


夕食後の談話中。やっぱり話題は由くんのこと。


急に立ち上がって話を逸らす。


けれどやっぱり質問攻めにしていた壮五さんは、嬉しそうに微笑む


壮五「嬉しいなぁ、大切に食べるよ」


壮歌「でも、ファンの方から沢山頂くんでしょ？」


壮五「そうだけど、全部食べ切れるわけじゃないし。娘からのチョコレートほど嬉しいものはないよ」


壮歌「あ、ありがとう…、これからもお仕事頑張って」


照れくさそうに笑ったその時、ピコンと壮歌の携帯が鳴った。


A「行ってらっしゃい」


どうせ、彼からのラビチャだろうから部屋に行くように促す。


部屋を出る壮歌を見ながら、壮五さんが私の方をじっと見つめた。


A「壮歌のチョコレート、食べないんですか？」


壮五「もちろん食べるよ。ただ、Aからのチョコレートは無いのかなって」


お酒を飲んだ時のようなトロンとした甘い目。


A「受け取ってくれますか」


壮五「もちろん」


真っ赤なラッピングに真っ赤なチョコレート。


壮五「うわぁ…！唐辛子入れたの？美味しそう…」


いい雰囲気はどこへやら。


A「たくさんの愛情と、唐辛子を入れました」


壮五「Aも一緒に食べよう」
A「丁重にお断りします」


(唐辛子で)真っ赤なバレンタインデー。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
大遅刻バレンタイン長編でした…
オチが、ひどい＼(^o^)／

夢花さんからのバレンタインリクエストでした。
リクエストありがとうございます！

NEXT陸くん！

陸パパ→←バレンタインデー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す