【文豪ストレイドッグス】元.ポートマフィアの指導者 part 9 (ページ7)

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弐佰参拾参頁─ト或ル訪問者 4─ ページ7

奪い取られる拳銃。

鈴奈はそれを軽く弄ると直ぐに興味が無くなったのか無造作に床へと放り投げ、それからじっと何かを探すように国木田の目を覗き込んだ。

思わず顔を逸してしまいそうになるのを手で防がれる。

そして数秒後、何やら満足した様子で彼女は微笑んだ。

「強い人だね。一度の強い衝撃でバラバラになってしまいそうな厚さだけど、芯の通った善い人だ」

そう云って鈴奈は再び扉へと歩いていく。

不思議と国木田はそれを止める気持ちにはならなかった。

扉に掌を当てる。

一枚の板を挟んで伝わる向こう側の振動。

それから程なくしてドアノブが回った。

既に其処にいる人物が誰か判っているのか鈴奈は両手を広げて笑顔で迎え入れた。

「わーい！有ちゃん久しぶ────」

勢いよく飛び込んできた茶色の柔らかい物体。

それは彼女の顔面に覆い被さり、物理的に口を止めた。

「久しぶりだネ、鈴奈。元気にしてタ？」

『全く、どう思ったらそういう行動になるの。あとその呼び方は止めて』

クマのぬいぐるみの姿をした異能生命体、フルール。

彼の背後には腕を組むAの姿。

どうやら相当御立腹のようで、その声には明らかに怒りが含まれていた。

「一体何があったんだい？いくつか銃痕があるようだけど」

「敵襲にでも遭ったんですか...？」

「あら、そちらの女性はどなたですの？」

「...げ、やっぱり彼女か」

扉から続々と姿を現していく社員たち。

与謝野と谷崎兄妹は疑問を浮かべ、太宰は嫌な奴に会ったとそれを隠すことなく顔を歪めた。

『すみません国木田さん。うちの知り合いがご迷惑をかけたようで』

「いや、お前が無事ならそれでいい」

『...何があったのか説明いただけますか』

A達は国木田から今此処で何があったのかを聞いた。

彼女が依頼者として探偵社に来たこと。

銃を発砲してしまったこと。

全員の視線が鈴奈へと集まる。

「い、いやぁ、彼等とは少し遊びに付き合ってもらっていただけで...」

『......』

「こんなに純粋だとは思わなかったから予想以上の効果だったというか......本当にすみませんでした！」