45 ページ45
.
「俺まだ信じられない」
「なにが？」
「ヌナが俺を好きって言ってくれたこと」
そう言って彼はニカッと笑った。
仏国寺への道。
2人でパンフレットと、さっきおみやげ屋さんで買った饅頭を持って歩く。
ジョングクくんが私の手をそっと握った。
「手、繋いでいいですか？」
「もう繋いでるよ？それに、許可なんていちいちいらないよ」
「うん」
にやにやを抑えられない私。
でも彼も同じみたい。
口元を手で隠しているけど、目は笑った時のあの細い目。
「だから彼氏と別れたの？」
「うん」
「ケンカにならなかった？」
「ユンギさん優しいから」
「…ふーん」
ジョングクくん、嫉妬したのかな？
握る手の力がぎゅっと一瞬強くなる。
そんな彼にきゅんとする。
妬いてくれてる。
ユンギさんに妬いてる。
今私たち、すごく恋人っぽい！
そこでハッと気づいた。
ジョングクくんには彼女がいる。
「…ねえ」
「ん？」
パッと振り返る顔はキラキラしている。
私だけに見せてくれる表情なのかな。
いや、違う。
彼には彼女がいるんだから。
「…ジョングクくんの、彼女って、」
「その話は帰ってからにしませんか」
「えっ、」
「今その話したくないんです。帰ったら全部話しますから…」
「…」
「今はヌナと、恋人でいたい」
立ち止まった私たち。
周りの木々が風に揺らされる音が響いていた。
見つめ合い、お互いそれから言葉が出なかった。
ただ、繋いだ手は離さずに。
「全部話してくれるの？」
「はい」
「…別れてくれるの？彼女と」
「…それは、わからない」
「なんで…！」
「ごめんなさい。でも、」
「でも？」
「俺が世界で一番好きなのはAヌナだよ」
ジョングクくんとの距離が近くなる。
唇を噛んで、泣きそうになるのを必死に堪えた。
おでことおでこがくっつく。
なんで？
どうして？
悲しくて、嬉しくて、たくさんのことがありすぎて夢を見てるんじゃないかと錯覚した。
私が泣きそうだって、きっとバレてる。
ジョングクくんが困った顔をしているもん。
「大丈夫。俺、ヌナが思ってるほどちゃらんぽらんな軽い男じゃないから」
「…ふふ、うん」
「信じて。待ってて」
「…うん」
「だから今は楽しもう。ね？」
パッと2人の距離は離れて、自然とまた歩き出した。
ジョングクくんが私の手を優しく引っ張る。
男らしい手。
彼を信じて待とうと思う。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラン(プロフ) - かんなさん» コメントありがとうございます〜！テヒョンの作品も読んでくれたんですね(;o;)嬉しいです！更新は遅くなってしまいますが、これからも頑張ります！！ (2017年4月4日 1時) (
レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - 今までのテヒョンのお話も大好きで読んでいました。ソランさんの作品はキュンとしてすごく切なくて引き込まれます。これからも楽しみにしています。頑張ってください(*^^*) (2017年4月3日 0時) (レス) id: 7593378807 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - みいさん» コメントありがとうございます！本当ですか〜！嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2017年3月28日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - しーさん» コメントありがとうございます！嬉しいです〜(;o;)お気遣い感謝します！これからも頑張ります！ (2017年3月28日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
みい - やばい。めっちゃキュンキュンする。 続きが楽しみです！ (2017年3月28日 19時) (レス) id: aeaf7211ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソラン
| 作成日時：2017年3月6日 14時
