【】好敵手【】 (ページ44)

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負けたページ44

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彼は普通の妖とは違うのだろう。
話してみてわかったのは、ただの変わり者って事だけ。
妖は妖。触れた手に蕁麻疹が出来そうだ。

「ぁー…ありがとうございました…」

「…別に。私先に行くから」

おかしい。妖がお礼を言うなんて

「ぁ、あの…」

「…まだなんかあるの」

「いや…なん、つーか…」

何をそんなに口ごもってんの

「二人で言った方が良くないすか。」

私のことを喰うつもりか。

素早く手に御札をすぐに出せるように準備した。

「…このままこういう感じでコラボとかだとまずいだろ、だから」

上がっていた肩は、すぐに落ちた。
そっと御札を袖に戻した

「まず、なんでコラボすることになってんの？私はゲマズコラボ以外貴方とコラボしないけど」

「そのゲマズのコラボでペアが一緒になった時とかの話をしてんだよ。コラボする気になってんのはお前だろ」

「…今の貴方からこの状況を打開しようって言う思いが見当たらない。私は打開したくもないからいいけど」

なんなのコイツ。

妖らしくもないし、なんなら人間に歩み寄ってる。

「じゃあ、なんで俺の事助けたんすか」

「…それは、」

他の妖とコイツは違ったから、どうしてなのか知りたかっただけ。

本当に？本当にそれだけ？
コイツが私に歩み寄ろうとしている様に、
本当は私も…

「アンタは優しいはずだろ。困ってる俺をほっとけなかったんじゃねぇの？」

いつの間にか彼の目は赤く鋭く光っていた。
黒髪の毛先は少し白に染っている。

「…」

「つまんねー意地張んなよ」

何故か図星だった。
腹立つ。なんで私が妖なんかに、言い負かされないといけないの…

彼の瞳はもう赤く光っていない。髪も毛先まで黒髪だ。

「……その威勢、その困ってる時に出せなかったの？」

「…」

上手く引っかかってくれた。
コイツは思っている事がすぐ顔に出るらしい。

折角治った黒の瞳もまた赤く光った。
その赤い瞳は私から逸れて、気まずそうに頬に汗を垂らす。

「……ふっ…ふふ…」

おかしい。おもしろい。
だって、妖と口喧嘩なんて初めてしたから

彼は他の妖とは違う。
産まれてきて初めて出会った。きっと、彼は優しい妖だ。

「負けた。一緒に行こう」

初めて、妖に負けてしまった

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