籠の中の鳥 ページ23
.
「…待った?」
「時間通りじゃん」
いつもの白髪とは違い、今日は黒髪の葛葉。
人間に擬態する為らしいけど、黒髪にしても結構目立ったりする。
本人は気にしてないらしいけど
「え、イケメン…」
「めっちゃかっこよくない?」
「隣の人彼女かな?」
「彼女さんもかわいい…」
「美男美女じゃん」
あれ、私も褒められてる。
「葛葉、お前にもいい所あるんだよね」
「喧嘩売ってんの?」
…
「…葛葉がちゃんと下調べしてきている…」
「そんなに変かよ」
「変だわ、どういう風の吹き回し?」
本当はその理由も分かっているけど、
急にデートに誘われたのは初めてだし、ましてや水族館デート…
「アンタ本当に葛葉?」
「はァ?w」
笑いながら言う葛葉が何故かいつもよりイケメンに見えて、更に変に見る。
思わず、背伸びをして葛葉の顔を両手で包みこちらに無理やり向けた
「…葛葉だよなぁ…」
急な事に葛葉はびっくりと黒い瞳を紅く、大きくさせた。
しばらく放心状態の葛葉を不思議に思っていると、首から真っ白だった肌が急に赤くなっていった。
あ、
顔を挟んでいた手を急いで離す
すると葛葉は、気を取り戻したようにプイッとそっぽを向いてしまった。
黒髪からチラつく耳はずっと真っ赤だった。
「お前の妖力感知ってやつはそんなに鈍いんか」
顔を赤くさせながらも言った葛葉のその言葉に少し現実に引き戻された感覚になる。
私は、古代から伝わる家系の次期当主であり一人娘。
本当はこうやって普通に出かけることも許されない存在。
ライバーの仕事だって、絶対に家を継ぐって言う条件でやらせてもらっている。
私は所詮籠の中の鳥でしかない。
「…行こうぜ」
葛葉は、いつの間にか考え込んでいた私の手を引いて水族館の門をくぐった。
私から握り返すことはないその手は、珍しく熱が籠っていた。
.
2918人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白米(プロフ) - ゆりなさん» ありがとうございます❣️ (2022年9月28日 8時) (レス) id: 28dea4d994 (このIDを非表示/違反報告)
白米(プロフ) - tskrさん» コメントありがとうございます!💖私もこのふたりの関係性大好きです🫶🏻 (2022年9月28日 8時) (レス) id: 28dea4d994 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 最高です (2022年9月28日 6時) (レス) @page50 id: f5fe83ff51 (このIDを非表示/違反報告)
tskr - 通りすがりです。kzhとの関係性良すぎて好きです (2022年9月9日 21時) (レス) @page50 id: 44261e6d73 (このIDを非表示/違反報告)
白米(プロフ) - 課長封月Xさん» ありがとうございます!💖 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 28dea4d994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白米 | 作成日時:2022年6月7日 2時