・四十一 ページ42
小梅 side
「どこにいる!?」
「探せ!」
「外には?!」
「こっちはいないです!」
朝から騒ぐ役人の人達
それは驚く程に酷くこの静かな遊郭に響き渡った
女将 「あの馬鹿、もっと上手くやりんさい」
私の隣にいる女将はそう呟く
今朝、A姉さんが姿を消した
明日が身請けだというのに
誰もどこに行ったかは分からない
いや、正確には私と女将以外は誰も知らない
馬鹿みたいに騒ぐ役人は誰もそんな事には気付かない
女将 「お前、水揚げまでは誰に見てもらいんす」
小梅 「わかりんせん」
女将 「はぁ、朝雲太夫にでも頼もうか」
小梅 「A姉さん以上に素敵な姉さんはおりんせん、」
女将 「そりゃぁ、うちの売れっ子だからねぇ」
小梅 「わっちは、、、
姉さんみたいになれるんでありんす?」
女将 「そんなん、お前の努力次第だよ」
小梅 「わっちは、、、
姉さんの着物を着ても恥ずかしくない花魁になりんす!
この遊郭の売れっ子になりんす!!!」
女将 「はははっ!
本当に、わっちが育てた奴が育てた奴も
またそいつが育てた奴も
変な奴ばかりじゃのう」
そう言えば女将は私の頭を優しく撫でた
女将 「お前が次の年になった時、
すぐに水揚げをしよう
その代わりがっぽり稼いでもらうよ?」
小梅 「はい!」
「見つかったみたいだぞ!」
そう聞こえれば役人が知らされた場所へと向かおうとする
私と女将は顔を合わせては
ただA姉さんの無事を祈るしか無かった
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作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時