・十一 ページ12
貴方 「ﾋｯｯｯ、ﾋｸｯ、、、、」
慧 「え？大丈夫？」
貴方 「すみ、ﾋｸｯません、、、
も、ぅ、、だい、じょうﾋｸｯ、です、、」
溢れ出した涙を止めようと必死になる
だけど全然止まってくれなくて
慧 「全然大丈夫そうに見えないよ」
そう言って私の頭にポンッと触れた
ずっと綺麗だと思っていた手はゴツゴツしてて
それでも柔らかくて優しくて
あったかい
慧 「やっぱり君と俺は似てるね」
貴方 「え、」
そんなことないのに
慧 「わかるよ
もがいてもあがいても助からなくて
怖くて逃げようとしても逃げ道もなく引き戻されて
ただ感情もなく
自分の思いを隠して
1番自分は傷つかないし
楽だよね」
なんでそんなに知ってるの？
知らないでしょ
貴方 「知ったふうに、、、
言わ、ないでょ、、、」
それは私の小さな反抗
それは目の前にいる人にではなく
私の決められた抗うことの出来ない運命に対する
貴方 「なによ、
そんな風に笑える人に私の気持ちなんてわかるわけないでしょ！？
全部全部知ったように、、、
どーせ、苦しいことなんてないくせに！！！」
私は最低だった
ずっと隠してきた思いは汚くて
それを誰かに見せたくなくて
だからバレないように気づかれないようにしてたのに
苦しくなったら誰かに当たって
最低だ
慧 「ふふふ、そっか苦しかったね」
そう言って頭を優しく撫でる
なんでこんなにこの人はあったかいのだろう
貴方 「苦しくなんか、、、」
なんで私はこんなに汚いのだろう
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作者名：いのみづちゃん
| 作成日時：2017年8月29日 10時
