【オリジナル】後輩君と転校生【派生/合作】 (ページ21)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:2,552 hit

Episode9「高体連」【望月綾萠】ページ21

高体連。引きこもりのぼくには一切縁のないものだ

暑さにやられそうになっているぼくを嘲笑うかのような太陽を見上げ、大きなため息をつく

数日前、教室で山田が話しかけてきたと思えば、

「お前今週末暇だろ？高体連あんだよ、見に来いよ！」
『は？？？』

と言い、ぼくの返事を聞かずに去っていった

ちょまてよ、と思わずキム○ク風に言ってしまったのはただの黒歴史である。死にたい

まぁただ....と、トラックで準備運動をしている蒼飛くんをみる。
いつになく真剣な彼の表情を見れただけでも満足かな、そう考えた。

....というか、本当にモテるな蒼飛くん。
ファンクラブ？みたいなのも来てるし、
山田もなぁ....黙ってりゃモテるはずなんだけどなぁ...

ふと、そのファンクラブの中に佐野さんがいるのを見つけて、慌てて目を逸らした

居るのか...そりゃそうだよな、彼女だし、

先日、山田に言われた「付き合ってる」という言葉が、今になってぼくに重くのしかかってきた

....やめたやめた。
今日は精一杯蒼飛くんを応援するんだ
ぼくはそう意気込んで、グラウンドの方に向き直った

山田のことはすっかり忘れている綾萠であった..by氷室

＊＊＊＊＊

パンッ、という軽い音と共に、選手たちは一斉に走り出す

一つ分抜けているのが蒼飛くんだった。

『...が、頑張れっ!蒼飛くんっ!!』

自分に出せる精一杯の声、それは、案外小さくて、

これじゃあ届かないなぁ、そんなふうに思ったその時、

バチンッ

蒼飛くんと目があった
彼は少し微笑んで、小さく頷いてくれた。

秒数にすれば、ほんの一秒にも満たない、短いやり取り。

だけど、届いたという事実だけで、
ぼくの気分は簡単に舞い上がった

....我ながら単純だな、と、少し自嘲気味に笑う

その後、山田と蒼飛くんがなにか話しているようだったが、遠くから見たらただ世間話をしているようにしか見えず、何を話しているのかまではわからなかった

ただ、ふと、蒼飛くんの厳しい表情と、
山田の、冷たい視線が酷く印象的だった。