【オリジナル】後輩君と転校生【派生/合作】 (ページ17)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:2,506 hit

Episode7「宣戦布告」【望月綾萠】ページ17

恐怖の追いかけられっこ(？)から約一週間

ぼくのほうが避けているからか、蒼飛くんと顔を合わせることもなくなった

『...これでいいんだ』

そっと、呟いてみる
そう。これが正しい。これが正解
蒼飛くんも、ぼくも、幸せになる為にはこれしかない

....あぁ、だめだ。一度負の思考に入るとなかなか抜け出せない。この癖なんとかしなきゃ、また彼方さんに怒られちゃうな、

そんなことを考えていた時、

「望月～、呼ばれてるぞ～」

クラスの子がぼくを呼ぶ

何だろう、そう思い、ドアの方に目を向けると、

『っ...なん、で....』

以前、蒼飛くんと楽しそうに話していた女の子が、人の良さそうな笑みを浮かべて立っていた。

＊＊＊＊＊＊

「先輩って、蒼飛君の何なんですか？」

『何、って....』

ただの先輩と後輩ですけど、そう零す。
後輩...そういや名前知らないな、後輩ちゃんでいっか()
後輩ちゃんはそれでは納得いかない様子で忌々しげに目を細める

「ただの先輩・後輩なら、何で蒼飛君はあんなに貴方の事を気にかけてるんですか！？」

いや知らないです
というか、気にかけてなんかないと思いますけど？？

あまり言いたくはなかったが、背に腹は変えられない、と、ぼくは口を開く

『...ぼくが“こんな体”だから、彼は生徒会として気にかけてくれているだけだと思いますよ、』

そう。本当に、ただそれだけなのだ。

もしぼくにちゃんとした“性別”があったなら、彼はここまで話しかけてくれなかっただろう。
そう思ったら、こんな体でも少しは良いのかな、なんて、考えてしまって、

「っ、じゃあ！
貴方から“迷惑だ”って言えばいいじゃないですか！」

『、は、？』

迷惑、？
そんなわけないだろう、ここまで気にかけてくれて、優しくしてくれて、
それで迷惑だなんて言ったら、それこそ失礼極まりない。そもそも迷惑だなんて思っていない

そう、言えたらよかったのに、
ぼくの口は、こんな時でも動かないままで、

「言えますよね？先輩。
別に蒼飛君のことどうとも思っていない(・・・・・・・・・・)ですもんね？

私、蒼飛君のことが好きなんです。
そして、蒼飛君も私が好きなの。

だから、先輩は邪魔なんですよ」

最後に後輩ちゃんが放ったその言葉は、なによりも鋭いナイフとなってぼくの心に突き刺さった。

よろしくお願いしますね！そんな言葉を残して後輩ちゃんが去って行った後も、僕はしばらく、その場から動くことができなかった