【オリジナル】止まぬ復讐劇の開幕 (ページ8)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,774 hit

8話ページ8

・

そのとき、俺と父親の会話が聞こえなくなったのをおかしく思ったのか、バタバタと階段を駆け降りる母親が姿を現した。

「っ、とう、さん…！？」

母親は哀れな父親の姿を見て、大粒の涙を流して父親に駆け寄った。

膝から崩れ落ちて、大声で泣き始める。

「あ、アンタ！何してくれてんのよ！！」

泣きながらこちらをキッと睨んで叫んだ。

「こ、これじゃあ、父さんと過ごせないじゃない…！」

『…へぇ…？』

俺はカッターを手に持ったまま母親に近付いた。

「な、何よ…」

『…コイツと一緒に過ごしたかった？』

「当たり前じゃない…！！」

俺は口角が上がった気がした。

『…だったら…一緒にあの世で過ごさせてやるよ』

母親の首目掛けて、カッターで一突きした。

声を出せず、口をはくはくさせて血を噴き出す母親。

『…殺したら、お前ら二人で、あの世で仲良く過ごせるだろ？』

母親は涙を流し、口を動かして倒れた。

…ん、？

『コイツ、最後に…"ごめんなさい"って、言ったか…？』

実際に聞こえた訳じゃないから分からないが、口の動き的にそうだと推測出来る。

『…ハッ…今更謝ったって何にも変わんねぇよ…』

俺は薄っすら笑い、カッターを引き抜いた。

母親は父親に重なるようにして倒れている。

『…相変わらず仲のいいことで』

それだけ吐き捨て、俺は部屋に戻った。

…ランドセルが邪魔だ。

『っと…』

ベッドにランドセルを投げ置く。

…もう使うことは無いから適当に扱ったっていい。

カッターの刃に付いた血を、適当に布で拭き取る。

『…あーあ…これからどうしようか…』

クラスメイトを殺した、先生も殺した、両親も殺した。

…次は？

『…警察にお世話になるなんて俺は御免だからな』

逃亡しかない。

俺はショルダーバッグにカッター、両親の財布、ハンカチやティッシュを詰め込んだ。

…そして色々情報を手に入れる為に携帯も入れた。

どうやら、俺の位置を把握する為に携帯を買ってくれたらしい。

当時は面倒くさかったものの、今は感謝でしかない。

『さてと…行くか』

俺は紺のパーカーのフードを被り、家を出た。

・