【オリジナル】百鬼会総長 (ページ8)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:2,993 hit

#5 ページ8

・

『…落ち着いた?』

数分間、兄貴に抱きしめさせたままだ。

反応は無い。

『…おーい?兄貴ー?』

「…ｸﾞｽｯ」

『まだ泣いてんのか。収まれって、な?』

「う、ん…」

兄貴の普段見せない、弱い輪廻。

私だって初めて見た。

いつも強気で明るい兄貴が、私の事になると変わる。

『(変わり方も、いつもと違うな)』

頭を撫でて、兄貴の顔を伺う。

『兄貴』

「うん、ごめん…」

兄貴は目辺りを擦って、涙を拭く。

『謝んなくて良いから。ほら、さっさと戻るぞ』

「分かった…」

私は兄貴の手を引っ張って、校内に戻った。

『じゃあ帰りに3年の教室行くから』

「うん、分かった」

元気の無い声で返事をした。

私は兄貴を見送り、マスクを戻す。

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ__

『…戻りました』

「百鬼、ちょっと良いか?」

先生に呼ばれ、先生の元に行く。

「こっち来てくれ」

『はい』

「百鬼。お前は…」

空き教室に入り、鍵を閉められた。

何故閉められるのだろうか。

「あの暴力団組織の百鬼会の関係者なのか?」

『…そうだと言ったら?』

「…壊妬が、お世話になってます」

そう言って、お辞儀をする。

まさか、壊妬の父親…?

『へぇ、父親だったんですか』

「正直…百鬼会に入りたいって言われた時は、反対したんですけど…馴染んでいた様で良かった…」

先生は私に話しかけられた時、確信を持ったのだろうか。

そして、私を止める壊妬の声…さん付けというのもあって、確信…だな。

『まぁ、私は1次団体…6代目総長ですが、上手くやってますよ』

マスクを少しずらして、笑ってみせる。

「百鬼…いや、Aさん。これからも息子をお願いします」

先生は深くお辞儀をした。

『…はい。壊妬を百鬼会6代目総長として、守らせて頂きます』

絶対に死なせない。

私はそう決意した。

・