26話 ページ26
・
11人「『ご馳走様でした!』」
私達は手を合わせて、挨拶をした。
色々な面白い話を聞けて、今までの食事の中で一番美味しくて楽しかった。
tn「じゃあ、俺らで片付けるから、Aはゆっくり休んでてええで」
『えっ、い、いいの…?』
shp「当たり前やん。だって、俺らが作ったんやし」
ci「Aはまだ幼いんやから、手伝わせる訳にはいかないんや」
何でこんなに優しいのだろう。
両親も、彼らも、同じ人間。
そして大人。
…私が考えても、答えは分からないのに、両親が違ったからか考えてしまう。
『じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて』
私は椅子から降り、ソファーに座った。
他の皆は「俺も休みたい」などと文句を言いながらも、素直にやっている。
『(私だけ特別扱い…いいのかな)』
…満腹になったのと、そんな考えごとをしていたのもあり、私は睡魔に誘われていた。
そして徐々に瞼が閉じて、私はソファーに身体を預けて意識を手放した。
私は昔の生活をしていた頃を、夢の中で見ていた。
「A、今日は家族でお出掛けしましょう」
「好きなもの、何でも買ってあげるぞ」
優しかった頃の両親はどこにいったのだろうか。
突如として、私に強く当たるようになって、喧嘩を頻繁にするようになって。
挙げ句の果てには暴力を振るってきて、こき使って、気に入らなかったら「役立たず」と責めてきて。
『(…辛かった)』
私は両親に連れ戻されるまで、彼らと幸せな日常を過ごしていたい。
…いつかは警察に見つかって、両親に連れ戻されるだろう。
『(それまで、楽しく過ごして、悔いのないようにしなくちゃ…)』
…なぜ夢の中まで過去を思い出さなくちゃいけないのか。
到底分からない。
けども、私にとって…たった8年間という短い人生で、一番辛かったことだったから、印象強く残っているのだろう。
『(……はは、私なんかに幸せなんて掴めるのかな)』
私は夢の中で、悲しみながら笑った。
・
99人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:如月透 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/02b71222995/
作成日時:2021年1月18日 19時