【オリジナル】石化の魔眼を持つ少年Ⅰ (ページ10)

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10話ページ10

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葵が起きたときもずっと僕は涙を流しており、逆に葵が焦って心配していた。

両親の勧めで家に泊まるよう言われたが、明日の学校だし泊まる為の服が無いなどの事情で仕方なく断り、僕は家を出た。

葵も両親も口を揃えて「いつでも家に泊まりにおいで」と言ってくれた。

『ほんと、どこまで優しいんだよ…』

やっと涙が止まったというのに、また溢れ出しそうになる。

明日は目が腫れているだろう、確実だ。

『……明日…』

明日、奴らはどう手を出してくるだろうか。

僕に手を出すか？それともまた葵に手を出すか？

どちらせによ、痛い目を見てもらわないといけない。

『……決定事項、だな』

そう低い声で呟く。

やり返さないと気が済まない、それが僕の性格だ。

普段冷たくて大人しい奴が、次会ったときに豹変していたらどう思うのだろうか、さぞ驚くだろう。

楽しみで仕方なかった。あの男についても騒ぐだろうし。

気付けば僕の口角が上がっていた。

『悪い癖だな…』

頬をぺちぺち叩いて元通りの顔に戻す。

あの時も……

"「や、やめて！その目を、向けないで…っ！！」"

"「わ、悪かった！悪かったから…石化、しようとしないでくれ…！！」"

『あはは…』

あのときも、ずーーーっと口角が上がっていた。

なぜなら今まで痛ぶっていた奴らの悲痛な叫び、必死な顔が滑稽で面白かったから。

あれ程まで面白かったことは無い。

『…お、着いた』

気付けば僕の家に辿り着いていた。

勿論の如く、家に灯りは無い、逆に灯りがあったらおかしい。

『…ただいま』

小声で挨拶して家に入る。

鍵を閉めたあと、カチッと電気を点けて冷蔵庫を開けた。

『適当でいいかー…』

食べたいものは特に無い、だから適当に手に取って口に運ぶ。

美味しいかは分からない、けど体調を崩さない辺り賞味期限的にはセーフ、吐かない辺り味的にもセーフ、ただそれだけ。

空腹を補えればいいと思っているから。

『…ご馳走さん』

洗面台に向かい、歯を磨く。

鏡越しには無表情な僕の顔、右目には眼帯、左目は赤く腫れている。

『…なんでこうなったんだか』

歯磨きを終わらし、僕は部屋に向かった。

風呂は朝シャワーで終わらそう、そう思ったから寝ようと部屋に向かったのだ。

『…おやすみ』

他の部屋の電気を消し、部屋に入るなりベッドに入った。

小声で呟き、僕は眠りに落ちた。

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