【オリジナル】石化の魔眼を持つ少年Ⅰ (ページ20)

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20話ページ20

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別に他の人間の命なんてどうでもいいとか、そういう訳ではない。

今までの仕返しを、こんな形で返しただけ。正当防衛だ、僕は殺されかけたのだから。

『…さてと、葵の元へ帰ろっと』

僕は眼帯を付け直して、走って路地裏を抜け出し、葵の元へと向かった。

変わらずそこで待っていた葵に「お待たせ」と小さく手を上げて言う。

「琴のやってきたことが分かったわ…逆に怖くなってきた」

『あはは、流石幼馴染。分かられちゃったことは怖いけどね』

また僕らは歩き出した、落ちていく夕日が綺麗だ。

無言で歩いていたとき葵は口を開いた。

「私、あのときも言ったけど、琴のことが好きなんだよね。琴は…私をどう思ってる？」

『それは、告白の返事が知りたいってこと？』

僕の言葉にコクッと頷く葵。

葵を好きだと自覚したときは心臓の鼓動が早かったが、今はそんなことない。

所謂漢になったという感じだろう、葵の前ではカッコつけたいと思うし恥ずかしい姿を見せたくないから。

『じゃあ…』

僕は壁際を歩いていた葵に壁ドンした。

「ぇっ…」

突然の出来事に驚き、そして顔を赤く染めていく。

「好きだよ」と、葵の唇にゆっくり自身の唇を重ねる。

少しの間唇を重ね、やがて離す。

『…これが僕の答えだけど、受け取ってくれる？』

「う、うん…」

『僕から言えれば、一番よかったんだろうな。…葵、僕と付き合ってください』

僕は壁ドンしたまま、顔が近いまま、葵に告白した。

本当は恥ずかしい気持ちが昂っていたが、今はカッコいいままでいたい。

「よ、喜んで！琴と付き合えて、すっごく幸せだよ、今までで一番幸せ！」

『ぉわっ！』

葵は僕にぎゅっと抱き着き、見つめてやんわりと微笑んだ。

その姿に胸を打たれ「かわいすぎ…」と悶えて抱き締め返す。

「なっ、なっ…！可愛くないし！」

『可愛いよ、世界一、誰よりも可愛い』

僕はずっと前から葵が過保護だと思っていた。

だが、実は僕も過保護なのだろう。そして溺愛彼氏だと思う。

『愛してる。これからもよろしくね、彼女の葵さん』

「わ、私も愛してるよ！勿論これからもよろしく、彼氏の琴くんっ」

互いにさん付けも君付けもしないからか、二人でクスッと笑い合った。

次の日学校ではもう話が回っており、「お幸せに」と言葉を貰った。

こんな僕でも認めてもらえて、幸せをやっと掴めたと、そう実感出来た。

『ありがとう、皆』

誰にも聞こえない声で、呟いた。

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