No.71 ページ21
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その後、樹くんとどんな会話をしたのか覚えていない。
気付けば、新しい部屋で私一人になっていた。
動くこともできなくて、ただリビングの中心で立ち尽くす。
なんで？どうして？
頭の中に浮かぶのはそればかり。
でも、そんなの単純だ。
私はもう要らなくなったんだ。
要らないから、ネックレスも、私を家に置いておく必要もなくなった。
『っ、』
そう思った瞬間、心が軋むように痛んで思わず胸を押さえる。
私は、帰る場所が欲しくて健太に連れて行ってと頼んだ。
あの時は、あんな地獄みたいな場所じゃなければどこだって良いと思ってた。
だからこの綺麗な1人部屋だって、私が求めていた居場所と変わらないはずなのに。
おかしいな。
いつの間にか欲張りになっていた私は、健太がいるあの場所がいいと思ってしまう。
私の居場所は、健太の隣がいい。
『…………あ、』
……そっか。そういうこと。
健太と出会う前は抱いたことがなくて、ずっと名前を付けられずにいたこの気持ち。
どんなに心細い夜だって隣にいるだけで落ち着いたのも、
名前を呼ばれただけで満たされるような気持ちになるのも、
抱きしめられるたび おかしいぐらい鼓動が早くなるのも、
……今、こんなに悲しくて、苦しくてたまらないのも、
全部全部、健太のことが好きだから。
足の力が抜けて床に座り込む。
フローリングに付いた両手が視界に映り込んだ。
私、馬鹿だ。
今更答えが出たところでもう手遅れ。
だって健太は、もう私と会う気はないんだから。
視界がじわりと滲む。
『ふ……っ』
嗚咽が漏れ、冷たい涙が頬を伝う。
なんで。
─どこにも行かないで
『健太がそう言ったのに……っ！』
誰にも届かない言葉は、涙とともに床へ溢れ落ちた。
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熊猫(プロフ) - コトリさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ありません🙇💦以前からコトリさんの作品を読ませていただいていたので、コメントいただけたことにビックリしながらもとても嬉しいです！読んでいただきありがとうございました🙏✨ (2022年9月6日 12時) (
レス) id: 909b68a48b (このIDを非表示/違反報告)
コトリ(プロフ) - はじめまして。完結からだいぶ経ちますが作品読ませていただきました！ほんっとうにおもしろかったです…。宛書きですか？というくらいリアルで、脳内でドラマ化…。健太さんのクールな部分と柔らかい部分も読みごたえ抜群でした。素敵な作品ありがとうございます。 (2022年5月6日 11時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
熊猫(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます😭🙏✨色々伏線を張ってはいたものの本心まではたどり着けていなかったので、この番外編でお話できて良かったです😂最後まで読んでいただきありがとうございました🙇♀️ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0ec074764d (このIDを非表示/違反報告)
熊猫(プロフ) - Kazumiさん» コメントありがとうございます🙏✨自分の書いたお話でそこまで楽しんでいただけたかと思うと飛び上がるほど嬉しいです😭本当にありがとうございました！ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0ec074764d (このIDを非表示/違反報告)
熊猫(プロフ) - 余白のむらさん» 本当ですね😢余白のむらさんのコメントを拝見して、壱馬さんに別の素敵な相手が見つかるスピンオフがあっても良いかも…！と思いました☺️最後まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0ec074764d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：熊猫 | 作成日時：2021年9月9日 17時
