終速2メートルの恋

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2月１２日、紅白戦




林「う、っしゃ！！」
「す、すっごい....！！！」




２打数2安打....1四球...




小林選手のタイムリーでまた一点追加。
三番打者としての役割をこなしてる...




.




“三番、キャッチャー、小林”



A”三番！！？”
B”三番小林！！！！？”


建”三番、小林選手....と。”




.





球場のアナウンスで、”三番小林”ってコールされた時、球場がどよめいたのに

(建山さんは、淡々としてたけど。)




すごいなぁ...だって、秋からずっと先頭だってバット振ってたもんね

今年は、もっともっとバッテイングに期待できそう





.





___試合後





建「....A、ちょっと。」
「....？はい！」





これから、バックネット裏から球場の下に降りて、選手に取材をしようとしている時


建山さんは急に立ち止まり、私の苗字を呼ぶ



.




「...どうしたんですか？」
建「....あの、あなた、これからピッチャー陣に取材に行くじゃない。」





珍しく、建山さんと目が合わない

いっつもは、凛とした目で相手見つめて話すのになぁ




「そうですけど....何かありましたか？」




ふぅ、と一息ため息をついて、建山さんは




.





建「...私、野手担当なんだけど、代わってくれないかしら。」
「え。」





え？





私が、きょとん、とした顔で建山さんを見つめてると





建「...別に、大した理由もないの。でも、変わってくれないかしら？ お願い。」





綺麗に分けられたショートヘアを、建山さんは気だるそうに搔き上げる

その姿は、やっぱり美しくて





.





「....わ、かりました。では、投手の方をお願いしますね。」




わたしがそう言うと




建「誰にも、言わないでね。」




そう一言だけ言って、建山さんはピッチャー陣がいるブルペン付近へ駆ける




.




建山さん....私、一年も建山さんの付き人させてもらったから、分かるんです



「久々に見た...。」





.




建“お願い....。”




建山さんが髪を搔き上げるときは、何かしら、
焦っているという合図だ。

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