姉愛［43］｡蒼鷺治嗣｡ ページ43
？side
｢ホントに気持ち悪ぃ｣
｢マジ無理なんだけど｣
｢こっち見んなよお前｣
｢何で生きてるわけ？｣
面倒くせぇ。ほんっとに面倒くせぇ。
人間って何でこうも詰まらねぇんだか｡
他人を蹴落とし見下ろす事で自身は優越に浸り快楽を得る。汚らしいそれを生きるエネルギーにして自身が他人より上である事を認識したがってる。
けれどその輪廻がこの世界には必要不可欠。
｢嫌な世の中だ｣
｢何言ってるの
………おぉ。やっと来たか｡
誰も拾ってくれる筈が無い。
そう思って吐き捨てた俺の言葉を、
お前はいつも軽々と拾い上げてくれる。
他の奴とは明らかに違う｡
お前だけだ。俺の支えは。
｢おせーよA｣
ベンチに背中を預け言う。
だるそうに目を溶かせ俺の隣に腰掛けた。
｢トラブルに巻き込まれてたんだよ｣
｢へー。そりゃ災難だったな｣
｢………思ってないでしょ｣
ムゥっとするA。
そんな顔も可愛いな。
｢また喧嘩したの？｣
｢んー？｣
俺のボロボロな姿を見て声のトーンを下げた。
心無しか、無表情も悲しそうに見える。
その甘い優しさにまた俺は溺れるんだ。
｢…まぁ。ろくに動かねぇ左腕使って殴ってやったよ｣
右も同じようなモンだけど。
昔起きた大災害で両腕を馬鹿デカいコンクリートに潰されて以来ずっとこう。後遺症が今でもついて回ってる。
｢無理し過ぎ。そんなんじゃ早死にするよ｣
｢ははっ早死にか。それも良いかもな｣
｢………………馬鹿だね｣
少しだけ顔を俯かせて｢そんなこと言わないでよ｣って。拙い声で呟いた。
はぁーあ。
お前は何でそう俺を舞い上がらせるのがうめぇんだ。
そんな事言われたら照れんだろが。
｢わり。今の嘘な｣
柔らかい声で慰め、赤髪を控え目に掬った。
最初は振り払われてたが最近はちゃんと受け入れてくれるんだ。ちっと嫌そうだけど。
｢嘘ならいいよ｣
｢嗚呼｣
可愛い。マジで可愛い｡
俺年上が好みだった筈なんだけどな。
まさか5歳年下の小学生を好きになるとは。
ヤバくねぇかコレ？
ロリコンに入るんじゃね？
いやいや。それより本題に入らねぇと。
｢なぁA｣
｢何？｣
Aの目線から逃げ青空を見上げた。
似合わないその色彩を胸に移して貰う。
心に少しだけ余裕が戻った。
｢高校、何処行けば良いと思う？｣
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
