姉愛［05］｡原点待望｡ ページ5
オールマイトside
目の前で訳の分からないという顔をする轟少女。彼女の黒い瞳には何言ってるんだコイツ、と私に対する非難しか浮かんでいない。
……………そうか。
まだあの個性は発現していないんだね。
だとするといつ個性が出るか分からないな。
場所を選ばず、人の多い場所で発現したりしたらどうなるか。
｢私にもう1つ個性なんて無い筈だけど」
厭悪が轟少女の全身を花弁のように包む。
エンデヴァーとは余り似ていない。
私は素直にそう思った。
まだ彼女を理解していない上で。
｢いや。まだなら良いんだ｣
｢は？ 何それ｣
話はそれだけなんだ。態々すまないね。
小さく言って、ごめんなさいの意味を
込めて頭を撫でようと手を伸ばすが。
｢ふんっ｣
パチンっ。
思い切り払い退けられた。
結構痛いよ轟少女！
叩かれた手を若干涙目で摩っていると、彼女はこちらを少しだけ振り向き、冷たい瞳で私を見据えた。
｢最後に私からも1つある｣
その瞳には、何も映っていない。
感情も景色も。意思も色も。
何も映さず唯、黒い黒い石のよう。
｢私は貴方が大っ嫌いだ｣
そう言い残し店を出て行った。
大っ嫌いか…………。
それは恐らく、君の父であるエンデヴァーが関係しているんだろう。
轟A少女。
父親を憎み、嫌い。
反対に母親を愛し、大切にしようとも。
君の父親は確かに。彼なんだよ。
エンデヴァーなんだ。
でも君が、いつか感情を理解して。
愛を知って受け入れることが出来たら。
君のその瞳に映るものは輝いて見えるだろう。
｢轟A……｣
君の原点は、いつ現れるのかな。
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
