姉愛［295］｡目一杯の｡ ページ45
｢いや、この病院俺の親父が院長やっててよ。あの人色々馬鹿で甘いから、なんつーか、剣楽梛と風磨涼羽と轟焦凍の友情？ みてぇなのに感動したーとか言って剣楽と風磨の病室一緒にしてたり。俺にもうるせぇくらい泣きながら熱弁してきて。男は熱いのがなんぼだなとか何とか…｣
どうやら治嗣のお父さんは相当な人らしい。
息子のこの性格ではとてもじゃないけれど、そんな熱血おじさんは想像出来ない。私の想像力が乏しいだけかも知れない。とは思わない。
面倒くさそうに髪をかく治嗣を見上げる。
｢治嗣がここにいるのは、お手伝いとか？｣
｢あァ。ちっと士傑の方でやらかしちまって一週間出入り禁止になったからここにな｣
何やったんだこの人は。
｢まぁそこは置いといて。剣楽と風磨の見舞いなんだろ？ 俺でよかったら案内するぜ｣
｢あ…うん。焦凍もそこにいるんだよね？｣
｢いると思うぜ。ついさっき来てたからな｣
なんだかドキドキしてきた。
ガラス張りのゲートをくぐって、ズラリと並んだ四つのエレベータにぎょっとする。ここは近未来の要塞基地か何かか？ と。
それにしても患者さんとか少ないな。
｢ここはB棟(サブ)だから患者さんは主にあっちにあるA棟にいるんだ。あ、エレベータ来たぞ｣
私の探るような視線にパッと答えをくれた。
あっち、と言いつつ左方向の四角い建物を指差し、すぐエレベータに乗り込む治嗣に慌ててついて行く。またまた近未来感漂うボックスに二人きり。
二三四、五で停止した。
｢こっちだ｣
右へ出て真っ直ぐに長い廊下を進むと治嗣がある一室の前で立ち止まった。ふとネームプレートを見やると《剣楽梛、風磨涼羽》の名前が。
咳払いをして治嗣がノックをした。
｢蒼鷺です。入りますよ｣
不安定な敬語で病室へ足を入れる。
彼の大きな背中に隠れつつ、私もお邪魔した。
｢先生、どうしたんですか？｣
焦凍の声だ。
そこに、いる。
｢ンーいや、お前の姉ちゃんがって何隠れてんだA｣
グイッと両肩を掴まれて焦凍の目の前に突き出される。突然の事で私も焦凍も目を見開く。
ハッとする。
｢ちょっと何いきなり｣
｢A姉…！｣
金髪白衣に文句を言う暇もなく抱き着かれた。
お腹が苦しい。何とか視線を落とすと子犬のように瞳を潤ませる上目遣いの焦凍がいた。心臓を透明な矢で撃ち抜かれた気がした。
｢A姉、ごめんなさい、A姉っ…｣
────。
｢私も。私もごめんね｣
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
