姉愛［292］｡奇蹟奇跡｡ ページ42
no-side
西宮颯輔が個性名を口にした。
途端に、A及び神野を蝕んでいた暗闇は消え去り空気さえもがクリアに変わった。枯れ地から美麗な花畑に激変したように、人々は感じた。
｢あの少女を保護しろ！ まだ息があるはずだ！｣
｢西宮先輩は！？ 先輩がいないぞ!!?｣
｢A姉!!｣
｢嬢ちゃん！｣
現場に集まっていた颯輔の同僚や後輩。
焦凍、グラントリノ。
皆が余裕のない表情をぶら下げ、Aと颯輔がいた筈の広場の真ん中へひた走った。けれどそこにはAしかいなかった。
ただ、安らかに寝息を立てるAだけが。
｢…A姉、よかった…っ！｣
｢……。さっきの兄ちゃんは｣
涙ながらにAを抱き締める焦凍。
グラントリノは、跡形もなく消えてしまった颯輔を探していた。一体どこに行ったのだろうかと。
それはグラントリノだけではなかった。
｢西宮ーー!!!｣
｢西宮先輩どこですか！？｣
彼を慕っている仲間たちも。
｢…颯輔さん｣
直くんだけが、静かに嗚咽を零していた。
｢……終わっちゃった、のか｣
二弦は一人、泣き喚く男達を瓦礫の山から傍観していた。目尻と頬に涙の乾いた跡が深く深く伺えた。真っ赤に染まった鼻先はまだ微かに悲しみにひくつく。
二代目護衛対象であるという過去を持っていたからなのか、二弦は颯輔の《超必》を事前に知っていた。
それを使えばどうなってしまうのか。
それを使うことで今の護衛対象である轟Aはどうなるのか。
結果、颯輔は光と消え、轟Aは生きている。
別に不満はない。と二弦は苦っぽく微笑む。
｢だけどなぁ…けど、颯輔さんには、もう少し｣
ふいに吹いたそよ風が二弦の黒髪を揺らした。
｢もう少しだけでも、生きてて欲しかったぁ…っ｣
三角に縮こまってしゃくり上げる。
細い腕に顔を埋めて喉が枯れるまで泣いた。
いや、枯れても泣いた。
だって、止まらなかった。
｢うぁあああぁ………｣
二弦のめいっぱいの泣き声が空へ羽ばたいた。
───やがて救急が到着。
主に重症で昏睡状態であった梛と涼羽の二人、同じくオールマイトが最優先で搬送された。Aは気を失っているだけで命に別状はなかったが、一時的に病院へ運ばれた。
オールフォーワンは、別の施設へ厳重に送られたらしい。
その後すぐに西宮颯輔の捜索が行われたが結局手がかりは何一つ見つからず捜査は難航。
梛も涼羽も意識を取り戻さず。
そんな状態のまま二週間が過ぎた。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
