姉愛［255］｡被虐錯覚｡ ページ5
焦凍side
｢とにかく円場は任せたぞ。俺ならA姉と連携とりやすいし動き方もよく分かってる｣
言うと歯茎を剥き出しに唇を歪ませる爆豪。
事実を言っただけなのにどうしてそこまで不機嫌になるのか、言わずもがなA姉が好きだからだろうな。分かってる。
だが俺は誓ってるんだ。お前よりも先に。
生まれた瞬間から俺はA姉を守るっていう位置にいたんだ。
決めたんだ。
今まで守ってもらった分、今度は俺が。
｢待ってダメ、来ないで焦凍｣
円場を背から下ろしかけた時だった。
｢離れていて｣
｢！ …ど、どうして｣
｢いいから奥にいてっ、私が何とかする｣
君がいちゃ戦いにくいから。
──そう言う、ニュアンスだった。
｢………｣
俺は、邪魔ってこと？
…俺は、俺はA姉を守りたいんだよ。
傷ついて欲しくないんだ。だから。
だから一緒に戦いたいと思って、それで。
……どうしていつもそうなの？
どうして頼ってくれないの？
俺なんかじゃ心許ない？
俺が弱いからなの？
そんなの違うよ。間違ってる。
頼って欲しい。
そう思ってるのはきっと、俺だけじゃないよ？
ねぇ…どうしていつも。
｢いた！ 大きな氷が見える！｣
｢！？｣
ドス黒い霧で、7割近く包まれた心だった。
それを少しだけ払うように乱入して来たのは、いつに無く余裕の無い障子の焦り声と。草木が激しく擦れ合う音。倒木のけたたましい効果音と真黒の獣だった。
しかも、俺達を翻弄した黒くて細い敵を赤子同然に踏み潰している。流石は獣。
けもの、ケモノ…？ 獣？ 獣！？
｢誰か！ 何でもいいっ光を──！｣
｢かっちゃん！ お姉さん！ 轟くん！｣
ひた走る障子の顔の横に緑谷が見えた。
見違える程にぼろぼろな、血だらけの。
｢肉〜〜駄目だぁあ、その娘の断面を見るのはぼ｣
｢強請ルナ三下!!!｣
ガガガガっ！ と音が弾ける。
長く強大な黒い腕で、草木ごと敵を薙ぎ倒した。
よく状況がのみ込めない。強過ぎるだろ。
｢ひゃん！｣
途端、常闇の体に黒が戻っていった。
A姉が迅速に炎を掠めたらしい。
｢大丈夫？ 常闇｣
｢ッ。助かりました…｣
｢うん、無事で良かった｣
白い頬を柔らかくするA姉。
けれど緑谷を視界に入れると、それは消え去った。
俺の苦手な表情を間近で見せられる。
｢ごめんね…｣
どうして、貴女が謝ってるの。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
