姉愛［274］｡黒黒黒黒｡ ページ24
｢やっと思い出してくれたかな？ Aちゃんの胎内に植え付けた個性が個性だからね、記憶の消失や幻聴に似たそれがよくあっただろう？｣
怖い。全てが当てはまっていて怖い。
私が筒抜けになっているみたいな。
コイツは、私ですら知らない私の全貌を知っているのではないか。知っていて敢えて逃して後から嬲り殺そうとしているのではないか。
カタカタ、震えてしまう。
｢怯えてるの？ 本当に弱くなったね｣
｢…っ｣
｢弱くなったし甘くなった。もっと冷徹で無慈悲で問答無用なあの頃のAちゃんはどこに行っちゃったんだろう｣
ぐさぐさ刺さる。
思わず耳を塞いだ途端、右手から風のような何かが飛び出して行った。
｢黙れ！｣
オールマイトだった。
｢貴様はそうやって弄ぶ!!｣
顔が、顔が半分戻ってしまっている。
あの細っこい体に縮んでしまう。そんな。
｢お師匠だけでは満足出来なかったとでもほざく気か!!? A少女の幸せまで奪って!!｣
｢志村奈々は唯の捨て駒だよ。Aちゃんが僕の本命だ。その言いようは止めてくれるかな｣
｢ふざけるな!!｣
馬乗りになって、顔面を殴る。
オールマイトのそんな背中を見ているだけで目の奥がつんとしてきた。縮みかけている大きく見せかけた背中。
私は何をしているんだったか。
どうしてこんな場所に棒立ちしているんだ。
｢Aちゃんのような明るい子に狂気でしかない個性を与えたらどうなるか知りたかったんだ｣
｢黙れ、黙れ!!｣
｢Aちゃんは僕の大切な被検体だ。誰にも壊されないよう今までで見守ってきた。人格が激変してしまった事から暴力的に走ってしまった滑稽な轟炎司も実に愉快だった。そして、日々強くなっていく彼女を本当に誇らしく思っていたよ｣
｢ッA少女を何だと思っている！？ 貴様は一人の少女の人生を狂わした!!｣
｢分かっているよ。だからこそ愉しい｣
また土煙がブワァっと舞った。
風が吹き付ける。
脚がよろめいた。
私は、ずっと昔は明るかったのか。
あの男に全て変えられたのか。
父さんのあの謝罪は、下げてくれた頭は？
母さんのあの辛そうな笑顔は？ 涙は？
私のこの右膝は、後遺症は？
何故、焦凍はあんな火傷を負った。
｢……あぁ、ぅ｣
膝から崩れ落ちる。
非力に耳を塞いだ。
｢Aちゃん。後ろを見てごらん｣
｢………？｣
後ろを向いた。
何か、倒れてる。
あれは、水色と黒だ。
────。
何か、黒いモノが洩れた。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
