姉愛［272］｡不望主演｡ ページ22
no-side
大量の血を垂れ流し横たわる涼羽、梛。
荼毘、黒霧を抜いた敵連合に囲まれる勝己。
勝己を守ろうとしながらもオールフォーワンに衝突を余儀なくされるオールマイト。戦況はとても乱雑に散らかっていた。
しかし、彼らだけはその様を強く見据えていた。
｢剣楽先生も風磨先生も倒れてしまって…オールマイトはかっちゃんを守りながら戦ってる。こちらの戦力は減るばかりで不利になるばかり｣
｢こうなったら、行くしかねぇ…よな｣
出久と鋭児郎は目を合わせて諒する。
｢飯田さん…｣
そんな二人の姿に不安を煽られた八百万は、委ねるように飯田へ顔を向けた。
同じく目一杯に不安を抱えた天哉は目尻に皺を集め、噛み殺す。
｢やろう。好転させるためにも｣
慎重さを欠かさず、言った。
｢轟くんには氷結で道を作って欲しいんだ｣
｢……｣
｢と、轟くん？｣
｢っあ、あぁなんだ？｣
…焦凍の頭には、二人の顔が色濃くあった。
いつもヘラヘラ笑っていた馬鹿の深青の瞳が、真っ赤な血色で汚く染まって、凛々しくいつでも勇猛果敢な黒髪の紫色のシャツが、赤く赤く。
姉さんの大事な人達があんなにグチャグチャに…。
｢嗚呼…なるべく大きく氷を出せばいいんだな｣
｢うん。頼めるかな｣
出久の強い眼差しに無言で頷いた。
｢っよし。行こう｣
震え気味に宣言し鋭児郎の腹に腕を回す。
瞬間、天哉のエンジンがブォッと煙を噴き上げた。
それを焦凍が氷結で支え、ゆく道を与えた。
｢………｣
───。
戦場を横断していく三人の姿を、焦凍は虚ろに見上げる。今までで一番厄介な憂いを感じていた。絶望を味わう直前の胸騒ぎ。
そういうモノを。
自分の“大切”が無くなる、消えてしまう。
その予兆と予感が、確かに巡り巡って。
｢来い!! 爆豪!!!｣
その手を掴む勝己の姿を見ても。
戦線離脱を成功させた仲間を見ても。
黒い液状に消えていく敵共を見ても。
ズズ、ズ…ズズズ。
焦凍の中の渦巻きは、消えなかった。
｢まだ血塗れのゴミが二人転がっているけれど、一応の端役は消えた｣
渦巻きを膨張させるその声が、淡々と漂う。
｢さて。そろそろ主役をお呼びしようかな｣
漂って、流れて、はじけた。
ゴポポッ──。
｢ケホっ…ゲホッ！｣
その可憐な声に震えた。
その声は、それは、
｢久し振りだね。Aちゃん｣
｢轟少女…！？｣
｢……ッ！？｣
A姉──。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
