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2 side

もう帰ってる?っていう俺のメッセージに、“チョコ”しか返ってこなかったから、おかしいと思った。

飲みすぎるなって言ったのに。

酔った彼女が1人で外にいるのかと思うと、自然と足が速くなる。

、、いた。

「チョコは気持ちいな〜。」

俺が来たことにも気付かず、呑気にチョコに頬をくっつける彼女は、

俺が今日どれだけ気が気じゃなかったか、1ミリも分かってない。

「Aちゃん。」

「あ、来てくれたの?」

いつものしっかりした彼女じゃなく、ヘラヘラと笑っている。

「酔ってるでしょ。」

「そんなことないよ〜!」

こんな油断しきった顔を、男たちの前で見せていたのだろうか。

「どうせAちゃんのことだから、断れなくて飲んだんでしょ。」

俺のこの一言がたぶんいけなかったんだと思う。

「んー、ふふ(笑)」

今にも泣きそうな顔で笑う彼女に、ひどく焦った。

少しの間沈黙が続き、彼女の小さな声がそれを破る。

「二階堂くんも、私のことバカだと思う?」

「え?」

二階堂くんもって、、

「断れないよ、、でも私、そんなに鈍感かな?何も考えてなさそうに見えてる?」

「何、言ってんの、、」

思わず答えにつまるほど、全てを否定できるわけじゃなかった。

鈍感そうだし、いつも幸せそうで悩みなんてありません、みたいな。


だけど、違う。



俺が上司の愚痴言ったとき、「人間関係って平和が1番だよね。」なんて笑って言ってた彼女を思い出した。

そのときも俺は、幸せなやつだなって何も考えてなかったけど、

きっとあれは彼女の本音で、今まで頑張ってきた証拠で、、

なのに、俺みたいに何も分かってない奴らに、無神経なことをたくさん言われたんだろう。


「Aちゃん、、」

思わず抱きしめようと近づくと、それより先にすっぽりと彼女が俺の腕に収まってきた。

「え、」

いつもの彼女からは考えられない行動に、不謹慎ながらドキドキする。

「いつもありがとう。」

「?」

「私を癒してくれて、否定しないでくれて。」

「チョコと二階堂くんのおかげで頑張れる。」

そんなの、俺だって。


ゆっくりと彼女を抱きしめ返すと、体がビクッてなった。

自分から抱きついてきたくせに(笑)

泣き顔が見たいなんて、とんだ変態野郎だな俺は。

でも、こうしてしがみついて声を押し殺して泣く彼女を俺が守ってあげたいと思う。





だって、Aちゃんのことが好きだから。

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作者名:ちーず | 作成日時:2019年11月21日 21時

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