その少女、失言 ページ9
私の疑問を置き去りに、再び義姉さまと赤髪の男の子は言い合いを始める。
それを眺めていると、青髪の男の子が私の元へ来た。
「すまなかった、痛くなかったか?」
『……大丈夫、です。……こちらこそ、すみません』
「そうか。……僕はデュース、君の名前は?」
『……ぇ、と……』
デュースくんの質問に、私はどう返せば良いのだろうか。
正直に言ったら、義姉さまに怒られるのは目に見えている。でも答えないのも態度が悪いし。
「グレイよ、そいつの名前は。生まれた時から薄汚いからグレイ」
「A、そんな言い方すんなよ」
横から声を出したのは、義姉さまだった。
自分の名前で他の人が呼ばれるなんて変な感じ。
義姉さまの発言を諫めるのは、先ほどまで言い合いをしていた赤髪の男の子。
男の子は義姉さまを睨んで、それから私に頭を下げた。
「さっきぶつかって悪かったな」
『いえ、気にしていません。……それと、義姉さまの言い方は悪くありませんよ。私が薄汚いのは、本当のことですから』
「……そ、っか」
淡々と言うと、男の子は少し哀れんだように私を見る。……そんな風に見られる覚えはないのだけど。
デュースくんもジャックくんも、何で私を見るの?おかしなこと言ったかしら。
私が首を傾げていると、後ろから誰かが走ってくる音。
振り返ると、猫のような魔物と。ーーー私と同じように醜い女の子が走って来ていた。
「エース、デュース!置いてくなんて酷いんだゾ!」
「ほん、とに……それ……!……はぁ、疲れた……っ」
魔物が怒ったように炎を吐く。それを宥めながら、女の子は息を整えていた。
やがて怒りがおさまったらしい魔物が、ぐるりと辺りを見渡す。
ぱち、と目があった。
「……お前、誰なんだゾ?」
「グリム、人に名前を聞くときはまず自分から名乗るのが礼儀だよ。……えっと、私はユウでこっちがグリム。……貴女の名前は?」
少女がそう首を傾げる。
真っ黒で大きな目と、艶々の髪。白い肌に赤い頬と唇。小さくて高い鼻。……醜い。
『……グレイ。……グレイ・エラ』
「グレイちゃんか!女の子同士仲良くしようね!」
そう笑うユウさん。……どうしてそんなに明るくいられるんだろう。
そんなことを考えいると、身体が動いて。思わず言ってしまっていた。
『……どうして、そんなに明るいの?……私と同じで、とっても醜いのに……』
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Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…!義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました!何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです!完結おめでとうございます! (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが?!!好きです!! (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - カリムくん優しすぎて私まで涙ちょちょぎれてましたうわぁぁん(T_T) (2020年11月25日 23時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年9月18日 16時