その少女、登校 ページ6
『……ん』
「おや、起きましたか。……もうすぐナイトレイブンカレッジに着きますよ」
目を開けると、クロウリーさんが馬車のカーテンを開く。
眩しい日差しと、それから幻想的な景色に心が弾むのを感じた。
「……ついたようですね。此方ですよ」
数分後に、馬車が音を立てて止まる。
クロウリーさんが先に降りて、私に手を伸ばした。その手を取って、ゆっくり馬車を降りる。
厳格な雰囲気を持つ建物が私を見下ろして、冷たい風が私たちを吹き抜けていく。
思わず身体を震わせると、クロウリーさんが着ていたコートを私にかけた。
『……ありがとうございます』
「いえ。可愛い生徒が寒さに震えているのは、いただけませんから」
「ほう、随分と甘いんだな。学園長」
クロウリーさんに頭を下げると、頭上から違う人の声がした。慌てて顔を上げると、白黒の髪色をした格好いい男の人。
その人は私につかつかと歩み寄ってきて、私の前に片膝をついた。
「初めまして、お嬢さん。学園長から大体の話は聞いている。……私服選びは次の休みにでもどうだ?」
『え、あの……えっ?』
「クルーウェル先生!Aさんが困っているでしょう!?」
あぁ、この人が。クロウリーさんが言っていた、ファッションセンスのある人。
クロウリーさんの焦った声に、クルーウェルさんがカラカラと笑う。
それからクルーウェルさんは私の頭にポンと手を置いて、わしゃわしゃと撫で始めた。
「デイヴィス・クルーウェルだ。1年A組の担任と、魔法薬学などの教師をしている。何かあったら頼れ」
『……ありがとう、ございます』
「……学園長、もう連れて行っても良いのか?」
「そうですね。……Aさん、私たち大人は貴女の味方ですからね」
この人は、きっと。私の家に来たときに、私がどんな扱いを受けていたのか気づいたのだろう。
でも、それが当然だから。……だから、この人たちには頼れない。
醜いものが受ける、当然の罰なのだから。
「それじゃあ行くぞ」
『はい』
私はクルーウェルさんの後に続いて、廊下を歩く。
1年B組と書かれた扉の前で、クルーウェルさんは歩みを止めた。
「……ここが教室だ。……待ってろ」
クルーウェルさんは私の頭に手を置いて、それから教室の中へ入っていく。
数十秒後、クルーウェルさんと知らない人が中から出てきた。
「それじゃあ俺はもう行く。……しっかり学べよ」
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Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…!義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました!何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです!完結おめでとうございます! (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが?!!好きです!! (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - カリムくん優しすぎて私まで涙ちょちょぎれてましたうわぁぁん(T_T) (2020年11月25日 23時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年9月18日 16時