その教師、心配 ページ36
「すまない、頭に血が上っていた。……迷惑、っていうのは言葉の綾だ」
「クルーウェル先生、顔色悪かったですもんね。……もちろん、クルーウェル先生だけじゃありませんよ?トレイン先生も、バルガス先生も、サムさんも。‥‥もちろん、私も」
貴女が心配だったんです。
私がそういうと、Aさんは驚いた顔をする。それから、力なく首を振った。
何かを諦めたような、そんな目で。
『……知ってます。そんなこと言っても、私とあの子だと、あの子を選ぶんでしょう?』
そう笑うAさん。
……あの子、とは誰なんでしょうか。Aさんの、お姉さん?
家でもお姉さんと比べられて、それで愛されなかった……ということで良いんでしょうか。
……まぁ、どんな事情があっても人に。ましてや自分の娘に「醜い」なんて言ってはいけないんですがね。
「……そんなわけないでしょう。私たちは、貴女の味方ですよ」
この言葉で、Aさんが少しでも救われたら。
そう思いながら、ゆっくりとAさんを抱き締める。
……細すぎませんか、流石に。シンデレラ体重もびっくりの細さですよ。
「クルーウェル先生、お願いします。……トレイン先生、少し良いですか」
少しの間、私はAさんを抱き締め。それから、クルーウェル先生にAさんを預けた。
私はトレイン先生を呼んで、Aさんに聞こえない位置まで移動する。
「……あの子の姉の件、なんですが」
「私も考えていた。どうするのが、正解なんだろうと」
「……私は。あの子が傷付くなら、姉は家に帰しても……なんて考えてしまうんです。……教師失格ですよね」
頭を抑えて、笑う。
トレイン先生が首を振るのが分かった。
「……だが、姉はあの子に成り済まして来たんだろう。帰しても良いんじゃないか」
「姉を家に帰した場合、あの子がもっと酷い目に合うかもしれなくても……ですか」
わざわざ妹に成り済ましてまでこの学園に来たんです。
そこから帰してしまうと、卒業した後のあの子が心配で。
もし何かあったら。そう思うと、なかなか実行に移せない。
私がそう言うと、トレイン先生は静かに頷いた。
それから、神妙な面持ちで口を開く。
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Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…!義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました!何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです!完結おめでとうございます! (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが?!!好きです!! (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - カリムくん優しすぎて私まで涙ちょちょぎれてましたうわぁぁん(T_T) (2020年11月25日 23時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年9月18日 16時