その少女、起床 ページ21
寮内に響き渡るほどの悲鳴が出た。本当に自分から出たのか疑いたくなるほどの。
目が覚めた私は、慌てて自分の腕を確認する。……良かった、ついてる。
思わず安堵の息を吐く。それと同時に、目からは涙がボロボロと溢れてきた。……怖かった。
私が目元を拭っていると、どたどたと廊下を走る音。
「Aさん、どうしました！？」
扉を開け中に入ってきたのは、クロウリーさんだった。その後にクルーウェルさんと、バルガスさんたちも続く。
先生たちは泣いている私を見ると、ぎょっとした顔をして慌て始めた。
「ど、どうしました？どこか痛いですか？」
『ちが、い……ます。こわ、い夢を……見て……っ』
クロウリーさんが私の目元を拭う。
先生たちが「怖い夢か」とホッとするのが見えた。……どうやら何者かが入り込んだと思ったらしい。
私はぶんぶんと首を振って、口を開く。
『……は、い。小さい頃、の夢で。……義母さまに腕を切り落とされちゃった時の』
私がクロウリーさんにされるがままで呟くと、誰かが息を呑む音が聞こえた。部屋の空気が、固まる。
クロウリーさんは無心で私の目元をゆっくり拭っていた。
トレインさんの腕から抜け出したルチウスさんが私の元へ駆け寄ってきて、涙の跡が残る頬を舐め始めた。
「んなぁ、んな……ふなぁ」
『る、ルチウスさん……くすぐった……ふふっ』
「……Aさん、夜明けまであと少しありますが。……どうしますか？」
手を止めずに、そうクロウリーさんが首を傾げる。
どうするか、っていうのはアレだよね。もう起きるか、もう一回寝るか。
……またあんな夢を見るのは嫌だ。
『……起きてたい、です』
「そうですか。なら決まりですね」
クロウリーさんはにっこり笑って、私を起き上がらせる。ペンを一振りして、服装を制服へと変えた。
クルーウェルさんにエスコートされ、私は寮内のキッチンへ向かう。
何だか専門的な機械などがあるキッチンは、どことなくお洒落に見えた。
「……そうですねぇ、何がいいでしょうか」
「この前買っていたシュークリームでいいだろう。出し惜しみするな」
「何でバレてるんですか。怖いですね」
「なら紅茶はダージリンでどうだい？」
ー ー ー ー ー ー ー
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Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…！義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (
レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました！何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです！完結おめでとうございます！ (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが？！！好きです！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - カリムくん優しすぎて私まで涙ちょちょぎれてましたうわぁぁん(T_T) (2020年11月25日 23時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2020年9月18日 16時
