6話(誤字訂正) ページ8
無事にA評価をいただけた私は、クラス分けされた場所に移動していた。
…ピンクのTシャツはどこだろう。前に人が多過ぎてどこにAクラスのTシャツがあるかが全く見えなくて困りはてていると。
「大宮さん、こっちですよ。」
『あ、ありがとうございます。』
川尻蓮さんがTシャツの位置を教えてくれた。一緒にTシャツを受け取った川尻さんは私が一番気になっていた男子練習生だったから、なんだか少し緊張する。
『川尻さんピンク似合いますね。』
「大宮さんも似合ってるよ。」
『そうですか?ありがとうございます。』
なんてぎこちない会話なんだ。我ながら酷いな…と思いつつも緊張が勝ってどうにもうまく話せない。
あぁもう本当に私は一体なんなんだ、恋でもしてんのか!脳内で一人反省会をしていると、川尻さんが、また話しかけてくれた。
「大宮さんって22歳でしょ?」
『そうですね、22歳です。』
「じゃあ、せっかく同い年なんだから敬語やめてよ。」
『同い年なの?大人っぽいから私より2歳くらい年上かと思ってた。これからは同じところで練習するだろうし、仲良くしてね川尻くん。』
川尻くんと少し仲良くなれて嬉しい思いをしていると、他のAクラスの練習生たちが次々と集まってきているのに気づいた。みんな実力のある素敵な人達ばかりだったから、この中で私も練習できるのだと思うとワクワクする。
「あ、大宮さん!BOOMBAYAHめちゃくちゃカッコよかったです!」
『豆原くんだっけ。ありがとう、豆原くんもEXCITEカッコよかったよ。』
「そうですか?ありがとうございます!」
Aクラスの最年少、豆原一成くん。17歳とは思えないくらいにダンスの実力があって歌唱力も表現力もある子だったからよく覚えていた。弟と同い年で誕生月も同じ彼にはなんだか親近感が湧いている。
それにしたって彼は可愛い。もちろん大好きな弟は可愛くて仕方ないけど、それとは違う愛らしさが彼からは滲み出ていて、甘やかしたくなる魅力があると思う。
「大宮さん…そのですね、豆原くんじゃなくて豆とか一成とか呼んで下さい。」
『ふふっ、もちろんだよ一成くん。豆ちゃんの方がいいかな?』
「あ、あの、その…、なんでも嬉しいです。でも、家族以外に一成ってあんまり呼ばれないから一成って呼んで下さい。」
『一成くんかわいいね。私のことも、Aって呼んでね。』
「うぅ…っ。Aさん?」
…豆原くんめちゃくちゃにかわいいな。うちに来ないかな。
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作者名:おおはら | 作成日時:2021年10月7日 14時