3話 ページ4
「あ、そろそろ私たちなにわJKの出番だから行ってくるね?」
「Aお姉さん、見ててね。」
『うん。見てるから頑張ってね』
可愛い友達が舞台裏に移動してから少しして、とうとうその友達、なにわJKの出番になった。
「17歳高校3年生の、松田雫です!」
「18歳高校3年生の、飯塚奈津美です!」
「17歳高校2年生の、宮原華凛です!」
「16歳高校2年生の、夏目香織です!」
「16歳高校1年生の、鈴木あいです!」
「15歳高校1年生の、橋本梓です!」
「「「私たち、大阪産まれの女子高生。キュートでヤングな、なにわJKです!」」」
可愛い可愛い自己紹介から始まった彼女たちのパフォーマンスは、まだ荒削りではあるものの、フレッシュさと愛らしさのある、アイドルらしいステージだった。
TWICEのCheer upは正解だったように思う。
…ただ、それでも評価は高くなかった。
「評価A…いません。評価B…いません。評価C…飯塚奈津美、宮原華凛、夏目香織。評価D…鈴木あい、松田雫。評価F…橋本梓。」
悔しい結果に、雫ちゃんも梓ちゃんも他の子達も、沢山涙を流したのだろう。
帰ってきた2人は、私の前では上手くいかへんかったや、なんて笑って見せていたけど、目元も鼻も真っ赤だったから。
『お疲れ様、とっても可愛かったよ』
涙を沢山流したであろう2人の頭をポンポンと撫でて、私はそう言った。
その後も沢山のステージがあった。2人のステージが1番気になっていたとはいえ、それでも他に気になっている人は多くて。
例えばUn backersのステージだとか、上原くんのステージだとか、豆原くんのステージだとか。
そして何より、今披露している、私のいる舞台袖からは見えないHELLO AGAINのステージだとか。
…私がかっこいいと思った人達は、皆AやBという高評価を貰っているから、私もその中に入るつもりで頑張らないといけない。
そう思っているうちに私の番が来た。少しだけ走る心臓を深呼吸で落ち着かせながら、心の中で家にいるだろう家族に声をかける。
…姉さん頑張るよ。放送はまだ先だけど、見ていてね皆。
弟達へ向けた決意を胸に、弟達がバイト代を貯めて買ってくれた、このオーディションのための20cmピンヒールを深く履き直す。
「PR動画の再生回数No.1、練習生が気になる練習生No.1の期待の的、女子練習生唯一のソロステージです!」
行こう、本番だ。
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作者名:おおはら | 作成日時:2021年10月7日 14時