15話(修正1回目) ページ17
先生が去って自分たちで練習していると、來良くんが練習室を出て行った。多分一人の時間も必要だと思って、少し時間を置いてから來良くんのところに向かう。
『來良くん。大丈夫?疲れちゃった?』
「Aさん…、はい、ちょっとバテちゃって…。」
そういって頭を下げた來良くんが、じわじわと目に涙を浮かべて泣き出した。隣に座っていたけど席を立って、向かい側にしゃがみ込む。來良くんの両手を包んで、顔を覗き込んだ。
『どうしたの…何が辛い?』
「わからん…なんか、っ、急にしんどくなってっ…なんで泣いてんのかもわかんないっす…っ。」
『そっかそっか、辛いねえ、いっぱい泣きな。私しかいないから。』
來良くんは、その後みんなより振り入れが遅いこと、みんなに教えてもらってばっかりで足を引っ張ってしまっていると思ってることを教えてくれた。足手まといなんて私もみんなも、誰も思ってないのに。
『來良くんに教えるの、別に嫌じゃないよ?足引っ張ってるとかそんなこと思っちゃダメ。みんな、全員でここに残りたいんだよ。』
「でもっ…っ!」
『でもじゃない。教えたくて教えてるんだよ、みんな來良くんが好きだから。それを否定しないで。』
大丈夫、大丈夫だよと弟にしたように頭を抱きしめた。後頭部を柔くポンポンと撫でて涙を拭ってやる。そのうち落ち着いたのか、私のことを呼ぶので、腕を解いて正面に向き合う。
「ありがとうございます…。」
『うん。もう大丈夫?』
「大丈夫です。あの…、」
姉さんって呼んでもいいですか?
來良くんがそう言ってきた。嬉しくて仕方なかったからもちろんといって頭を撫でた。何て可愛いんだろう。これが母性…?なんて馬鹿なことも考えた。
『私も來良って呼び捨てするね。』
「はい。あの、姉さん。ありがとうございます。」
『自分を姉と慕ってくれる弟が、來良が悩んでるのに何もしない姉はいないよ。』
頭をもう一度撫でて、先に戻るねと声をかけて先に練習室に戻った。
こっそりみていただろう龍太くんの肩を軽く。男の子同士でないと話せないこともたくさんあるだろうから、残りは全部龍太くんに任せた。
「姉さん、ここ教えてくれませんか?」
『來良、どこわかんないの?一緒にやろう。ここはね…、』
Aクラスのみんなにいつの間に?!どういうこと?!なんて詰め寄られたけど、二人で顔を見合わせて秘密だなんてはぐらかしてみたりした。
200人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おおはら | 作成日時:2021年10月7日 14時