空想男子アディクション【ars】 (ページ15)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:1,669,601 hit

３ページ15

ご飯は翔さんオススメのお店。

食べるの大好きってゆー翔さんは、さすが美味しいお店を知ってるなと思った。

きっと、智くんは服にも食にもそんなに興味のある人じゃないはず。

なのに、私の誕生日だからって色々リサーチしてくれたんだなぁって思ったら、嬉しいとかそーゆーの通り越して、目眩。

「ねぇ、智くん」
「ん？」
「智くんは良いお友達に恵まれてるね」
「そうだねぇ、おれは何の役にも立たないけどみんなは人の役に立つ人だからねぇ」

智くんはその存在だけで人の役に立ってるよ！
マイナスイオンなんて目じゃない程の癒し効果出てるからね！？

「失礼致します」

私が智くんの癒し効果について勝手に熱く考えてたら、店員さんが小さなケーキを運んで来た。

『happybirthday！』と描かれたチョコプレートが乗ってる。
小さなケーキだからさすがに年齢分のロウソクは立ってないけど、3本立てられたロウソクの火がユラユラ揺れる。

「おぉっ...」
「サプラーイズ！」
「うん、これはまた驚いた...嬉しい、鳥肌」
「火ぃ、消して！あ、おれ歌うね」

ケーキも驚いたけど、それ以上に智くんの歌レベルに驚いて鳥肌。

ちょっと恥ずかしそうに小声で歌ってるから絶対本気じゃないのにこの仕上がり。何者。

食事を終えて電車に乗り、智くんのマンションに行く事になった。

電車の車内で、掌の上に乗せられたチョコボール。
今日は、キャラメル。

残念そうな横顔だから、エンゼルは出なかったらしい。
口、尖ってるよ。

絵の具の香りがする智くんの部屋に入って、ソファに腰掛けると

彼が一旦リビングから出て行って、戻って来た時にはその手に大きな何かを抱えてた。

「Aちゃん、プレゼント！」
「え...え！？何、これ！」

渡された、その『大きな何か』は

昔のバラエティー番組でよく見た、大きな車の鍵。

ゲームとかクイズの景品が車だった場合に渡される、あれ。

でっかいけど、本物の鍵に見える。
どうやらダンボールで出来ててそれにアルミホイルを巻いて銀色にしてる。

こんな物までハイクオリティで作れるのか、凄いな芸術家！

「智くんの手作り？」
「うん！手作り！」
「ありがとう、何か芸能人になった気分ー！何かしらで優勝した気分！」
「え？Aちゃん、これがプレゼントだと思ってるの？」
「え？違うの？」

私が言うと、智くんが「天然だなぁ！」って笑った。

あはは！貴方に言われたくはない。