明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ9)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:1,297,092 hit

219.偉そう。ページ9

『もちろん』って何なんだろう。『もちろん』って。

私にとっては、全然『もちろん』じゃないんだけど。

『今から？本気で言ってる？』
『こんなつまらん冗談言うか、バカ』

......この人はお口だけじゃ無くて、文章になってもこの調子なのね。

『今、スマホを見れるってコトは仕事じゃないんでしょ？』

その通りです。

『暇でしょ？』

返事をする前に立て続けに届く。
ってゆーか、文字打つの速いんだけど。
あれだ、両手使ってババババッて打つタイプだ、この人。

『まぁ、暇だったけど...』
『はい、決まり。エントランス集合。ってゆーか、オレもう居るから早く来て』

あっちのペースでトントンと決まってしまって、ちょっと頭がついて行かない。
だけどこれは待たせると面倒だって事だけは分かるから、急いでアウターを着て家を出た。

エントランスに下りると、ソファに深く沈むように座ってる二宮くんとお腹に抱かれてるクロ。
その横に、少し大きめの鞄。

「おっす」

軽く手を挙げた後、クロの小さな手を掴んでヒョコって持ち上げ「おっす」って1オクターブ高い声で言う。

「クロ、こんにちは」

近付いてクロの頭を撫でると、目を細くしてクーンと喉を鳴らした。ソーキュート。

「おい、オレには？」
「え？頭ナデナデ？」
「違うわ！挨拶！」
「あぁ！こんにちは、二宮くん」
「はい、こんにちは」

変なやり取りに、ブッと吹き出す。

「あ、違うことも無いな...」
「え？何が？」
「頭ナデナデ」

二宮くんが、口角をキュウっと上げて笑った。

「しても良いよ？」

ちょっとだけ首を傾げて、立ってる私を見上げる水分量の多い目に

ドキっとしてしまって、何だか悔しい。

「...何で上から目線なの」
「どっちかと言えば、下から目線の上目遣いじゃない？」
「わー！屁理屈！」
「フハハッ！」

楽しそうにケラケラ笑って、クロをギューって抱き締めてる。
子供みたい。

「さて、じゃあ連れてってくれたまえ」
「だから何で上から目線なの」
「年上だから」
「あ、そうだった。忘れてた」

立ち上がった二宮くんが「年上は敬えよ？」って私の肩をポンポン、って偉そうに叩いたから

「年上だって忘れちゃうような容姿をしてる二宮くんが悪いんですよー？」

やり返しとばかりに、彼の頭をポンポンと撫でたら

「......か」
「え？何？」
「...お前はバカか。バカだ、大馬鹿」

耳を真っ赤にした二宮くんが、暴言を吐きながらフンってそっぽを向いた。