明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ37)

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247.COCOA。ページ37

リビングに入ってソファに座って、クロを降ろしてあげたら私の隣にチョコンとお座りした。

持って来たお菓子の入った袋をローテーブルに置いて、やる事も無いからクロの背中を撫でてみた。

暇だな...と思ってキョロキョロしたら、ローテーブルの下に何冊か本があったからそれを見て待つことにした。

重なってる本をまとめて手に取ると、タウン情報誌今月号と建築関係の装丁の立派な本。
それからミステリーの文庫本が三冊。

「あ、これ読みたかったやつだ」

文庫本の中から一冊選んで、ソファに深く腰掛けた。

クロは隣で寝息を立て始めた。
本の中では、一つ目の殺人事件が起きた。

「ごめん、お待たせ」
「あ...うん」

二宮くんがリビングに入って来たのも気付かない位に夢中になってて、慌てて本を閉じる。

「そんなに面白かった？貸してやろうか？」
「ホント！？ありがとー！今、一人殺されたよ」
「フハハッ！言い方。あ、しおりしなくて良いの？」
「あっ！」
「んー...今、しおり無いんだよな。あ、これ挟んどく？」

キッチンのカウンターに置いてあった電気料金の明細表を渡されて、思わず詳細を見てしまう。

「うちより電気代高い」
「オレ、夜型だから結構電気使うのよ」
「あー、なるほどねー」

さっきまで読んでた所をペラペラ探して、それを挟む。

「疲れたー...」

首をコキコキ鳴らして二宮くんがキッチンに立って、電気ポットに水を入れた。

「ココア飲むけど、Aも飲むでしょ？」
「うん。ココア、好き」
「オレの事は？」
「はっ！？...それは次回のお楽しみで...」
「フハハッ！いつが次回なんだよ。今が次回じゃねぇのかよ」

ケラケラ笑った二宮くんを、ちょっと直視できなくって

読んでた本の表紙に視線を落とす。

暫くするとココアの入ったマグを二つ持って、彼がこっちに来た。

私の隣で寝てるクロに「おーい、クロ起きてー」って声を掛けてる。

それだけでは全く起きないクロに、しゃがんで顔を近付けて(とゆーか、もうクロの身体に顔を突っ込んで)「おーきーてー」って言ってる。

さすがに鬱陶しかったのかムクっと起き上がってソファから跳び降りて、テテテ...っと壁際まで走って行ったクロに

「ごめんね。Aの隣はオレの場所なの」

なんて言っちゃうんだから、この人は。

「はい、ココア」
「あ...りがと...」

渡されたマグには、有名なビーグル犬のキャラが描いてあった。