明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ35)

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245.可愛がる。ページ35

「まぁ、仲良くしてやってよ」

潤さんが、本当のお兄さんのように言った。

「フフッ、何か照れますね」
「色々あった奴だから、若干捻くれてるトコもあるけどさ」
「アハッ、はい」
「意外と素直だから、扱うのは簡単だよ」
「アハハッ！簡単って！」

簡単簡単、って笑った潤さんが優しい目をする。

「痛みを知ってる子だから、カズは。だから、自分以外の人を絶対傷付けない」
「......はい」
「でも自分のコトになると、鈍感ってゆーか...自分が無理してる時でもそれに気付いてないってゆーか」
「......」
「それを今までは、まーが助けてあげてる感じだったけど。これからはAちゃんがコソっと助けてやって？」

昔の二宮くんを知ってる人から言われて、胸がギュ...となる。

「カズ、プライド高いからコソっとね」
「フフッ。はい、コソっと」
「まぁ、可愛がってやってよ。アイツは自分を可愛がってくれる人のコトは、その何倍も可愛がるよ」

可愛がるって言葉に、ちょっと照れてると向こうの方から女子高生が「ポリじゅーん！」って走って来た。

「何ですかー？暇潰しなら帰りなさいよ？もう暗くなる時間なんだから」

お巡りさんらしくちょっと厳しい顔をした潤さんに、女子高生は「違うよ！落し物！」って落ちてたらしいスマホを見せた。

お仕事の邪魔しちゃいけないと思った私は一歩下がり「あ、じゃあ私はこれで」って頭を下げる。

「うん。カズによろしくね」
「あ...はーい」

恥ずかしくって、口がへの字になった。

マンションに帰ると、とりあえず自分の部屋へ戻ってチェストをゴソゴソしてみる。

勝負できる一軍は居るか！？
コイツはどうだ...コイツはどうだ...色は？二宮くんは何色が好きだ？

ベタに白...いやー、ちょっとイメージじゃ無い。
じゃあ無難に黒...んー、乙女チックにピンク？...は持ってない。
何で王道ピンクをエントリーさせてないんだ！私！

そんな馬鹿な事を考えてたら、スマホが震えた。

慌てて確認すると

『おいで』

「...また単語...」

だけど、きっと長文を貰うよりも嬉しくて

文字と一緒に、二宮くんの声まで聴こえた気がして

ドキドキ最高潮で、ちょっと吐きそう。

とりあえず、着替えて、メイク直して、ボディクリーム塗って...

『まだ？』

届くLINEにドキドキ隠して『もう、せっかちさん♡』ってフザけて返したら、『ばーか(笑)』って返事でちょっと笑った。