242.懐かしの光景。 ページ32
翌日、ランチの終わった桜で昼休憩をとってると
「おはよ、A」
相変わらず爽やか撒き散らしてる櫻井さんが来た。
「あっ...！おはっ...ようございます...」
昨日の今日だから、妙に恥ずかしくて挙動不審になる。
「昨日はごめんな？」
「いえ...そんな、謝って貰うような事は何も...」
顔の前で手をブンブン振ってペコペコしてると、片付けの手伝いをしてた相葉くんが厨房から出て来た。
腰にいつもの黒いサロンじゃなくて、厨房用の白いエプロンを巻いてる。
「なになに、翔ちゃん！Aちゃんに何したのー？」
「え？何がだよ」
「だって今、謝ってたでしょ？」
「聞いてたの？」
「聞こえちゃった」
相葉くんがふっふーん、って笑って櫻井さんにスリスリ擦り寄った。
「あーもー、寄るなって。うわっ！お前、手が濡れてる！」
櫻井さんもケラケラ笑ってる。
「そんな事より雅紀、ディナーの予約確認とか諸々終わってんのか？」
「あ...まだ」
「早くやっちゃえよ、そんなんじゃ内定取り消しされんぞ？」
「うっそ！厳し過ぎるでしょ！」
濡れた手で相葉くんがベタベタ触るもんだから、櫻井さんも「マジでお前、ウザイ！」って叩き返した。
相葉くんがディナー前の仕事を始めると、櫻井さんはチラッと私を見てフッと笑う。
「さーてと...オレはそろそろ大阪帰ろうかな」
「あ、もう帰っちゃうんですね？」
「もう帰っちゃうよー。何、寂しい？」
「ほらー、すぐそうゆー事を...。彼女が居るんだから、他の女の子がときめくような事を言ったらダメです！」
「アハハッ！そっか、肝に銘じておきます」
ちょっとフザけた感じで真顔になって敬礼した櫻井さんが、すぐにプハッて吹き出した。
「雅紀の様子見て帰ろ」
そう言ってレジに向かう櫻井さんについて、私もレジに行く。
「あ、ねぇ翔ちゃん。この予約って、こっちの席で良いかなぁ」
「んー？どれ」
「これー」
レジのカウンターを挟んで、2人が頭を突き合わせてる。
何か、久々に見た光景にニヤニヤしちゃう。
「おはよーござい...ま...」
そこに出勤して来たミワちゃんが、2人を見て1歩下がった。
「おはよ、ミワちゃん」
私が言うと、相葉くんと櫻井さんが同時にミワちゃんを見る。
「おはよー、ミワちゃん！」
「あ、初めまして。僕、大阪店の櫻井です」
あー...ミワちゃん固まってる。
そりゃ大好きな人と突然現れたイケメンに、ニコニコされたら誰でも固まるわ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年10月23日 16時
