31時間目 ページ33
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「なーんだ、殺せんせー怖かったのかぁ。」
「それなら正直に言えばよかったのに。」
「ねー、怖いから逃げたいって。」
カルマの煽りを皮切りに、前原や矢田たちが殺せんせーを煽り始める。それに対して殺せんせーはどんどん真っ赤になっていって言った。
「にゅやーッ!!逃げる訳ありません!!期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」
その様子にE組は笑顔に包まれる。彼らはこの学園の大きな壁にぶち当たった。E組を取り囲む壁に。しかし彼らの心はどこか晴れやかだった。
──────────────ただ1人を除いて。
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秀華はテストが返された日の昼休み、自身のお気に入りの場所にいた。
『ふざけてるのか秀華!!A組に戻らないとはどういうつもりだ!!』
「…言葉の通りよ。A組に居るよりも、E組に居る方が成長できると思ったから。」
『ッ……これで理事長はお前を本校舎に復帰させる気は無くなったそうだ…ッ!!』
「えぇ、テスト前E組にあの人が来た時にも私は同じことを言ったもの…。」
電話口で息を荒くして秀華を叱りつける男。
浅野学秀。秀華の双子の兄で、秀華同様に今回の中間テストで1位を収めた。生徒会長を務める傍ら、A組全体の成績向上にも尽力したという理事長の才能を存分に受け継いだ男。もちろん運動能力もほかと比類ない。
彼は理事長の合理的主義もしっかりと受け継ぎ、E組を蔑む。そんな彼はE組行きを言い渡された秀華を心配していた。そして、当然のように戻ってくるとも思っていた。ゆえに、彼女の戻らないという選択は彼にとって理解不能な選択なのだ。
「…貴方はおかしいと思わないのね。このE組制度。」
『おかしい…?悔しいほど合理的に作られたシステムだとは思うが、何もおかしいことなど無いだろ。E組に落ちたのは自己責任だ、何を擁護する必要がある。』
「擁護なんかしてないわ。ただ、これでは歪んだ強者しか作れないと言ってるの!!貴方のようなね!!」
秀華は初めてだった。学秀に怒鳴ったことなど今まで無かった。学秀もまた秀華にどなられたことなど今まで1度もなかった。それ故に動揺し、心にもないことを言い放ってしまう。
『……お前なぞ…僕の兄妹じゃない…!!』
「…が、くしゅ…う……。」
『ッ…。』
ショックに思わず秀華は座り込んだ。トサッと通話の切れた携帯が草むらに落ちる。彼女は声をあげず、静かに咽び泣いた。
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ざくろ(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!確かに2番ですね!!!素で間違えてました!!!ご指摘ありがとうございますm(_ _)m (2021年3月16日 6時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 最近読み始め、すごく楽しく読ませていただいています。ふと気になったのですが、出席番号は2番が正しいのでは?と思いました。まだ読んでる途中なので何か別の理由があって1番にしているのであればすみません。作品楽しく読ませていただいています! (2021年3月16日 4時) (レス) id: 2946381aea (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - プロテインさん» ありがとうございます(*^^*)暗殺教室はとても好きな作品なので更新頑張って行きたいです (2020年10月22日 22時) (レス) id: fa9a4862ad (このIDを非表示/違反報告)
プロテイン - 質が高くて、キャラとの絡ませ方がお上手で、続きがとても気になります( ≧Д≦) (2020年10月22日 19時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2020年10月19日 2時