14時間目 ページ16
.
「えっ…。」
殺せんせーの言葉に奥田は驚いたような困惑したような表情を見せた。そんな奥田を真っ直ぐ見て殺せんせーは続けた。
「どんなに優れた毒薬を作れても…今回のように馬鹿正直に渡したのでは暗殺対象に利用されて終わりです。浅野さん、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」
「え…っと、先生のお好きな甘い物やジュースに混入して、一緒に食べようと誘ったりします。」
突然自分へ向けられた問いに面食らったような顔をするが、すぐに最適解を導き出した。殺せんせーはその答えに満足そうに頷いて、スライム状になった時に脱げた服の中に戻っていった。そしていつもの殺せんせーの姿に戻ると奥田の方を向いて続けた。
「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。
上手な毒の盛り方。それに必要なのが国語力です。君の理科の才能は将来皆の役に立てます。それを多くの人にわかりやすく伝えるために…毒を渡す国語力も鍛えてください。」
その言葉に奥田はハッ…として元気よく返事をした。その姿を見て秀華の表情も柔らかくなる。そんな彼女を見てカルマもいつものいたずらっ子のような笑みではなくて、優しい笑みを浮かべていた。前までは浅野くんの後ろにいてほんとに双子?っていうくらいビビりだったのに、なんて思いながら。
「浅野さん、E組来てからの方がよく笑うよね。」
「えっ?」
「前は浅野くんの後ろに隠れてばっかで、あんまり笑わなかったなぁ、って思い出してさ。」
スライム状の殺せんせーが暴れたことで乱れた机や椅子を戻している時、カルマは秀華そう言った。それに対して目を丸くしてカルマを見る秀華。
「…意外。本校舎にいた時の私の様子を覚えてるなんて。」
「そりゃあ、浅野くんの方が何倍も目立ってたけど…。」
カルマはなにか続けて言っていたが、机を戻す音がうるさくて秀華の耳には届いていなかった。困り顔で首を傾げる秀華を見て、カルマはいつものいたずらっ子のような胡散臭いような笑顔で「なんでもないよ。」と返した。
「浅野さんだって人気あったよ。俺からとかね。」
.
554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ざくろ(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!確かに2番ですね!!!素で間違えてました!!!ご指摘ありがとうございますm(_ _)m (2021年3月16日 6時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 最近読み始め、すごく楽しく読ませていただいています。ふと気になったのですが、出席番号は2番が正しいのでは?と思いました。まだ読んでる途中なので何か別の理由があって1番にしているのであればすみません。作品楽しく読ませていただいています! (2021年3月16日 4時) (レス) id: 2946381aea (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - プロテインさん» ありがとうございます(*^^*)暗殺教室はとても好きな作品なので更新頑張って行きたいです (2020年10月22日 22時) (レス) id: fa9a4862ad (このIDを非表示/違反報告)
プロテイン - 質が高くて、キャラとの絡ませ方がお上手で、続きがとても気になります( ≧Д≦) (2020年10月22日 19時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2020年10月19日 2時